西森博之さんの漫画には、登場人物が何を考え、どこで勘違いしたのかまで、言葉で追って読める場面があります。
『かぐや様は告らせたい』の赤坂アカさんも、西森作品の論理的な部分と台詞の多さから影響を受けたと話しています。
人物同士の返答だけでなく、頭の中の言葉も読むと、会話の食い違いが具体的に見えてきます。

赤坂アカは、西森作品から台詞の多さを学んだ
赤坂さんは2019年のインタビューで、影響を受けた作品として『天使な小生意気』を挙げました。
同作は、深夜アニメに夢中になるきっかけにもなった作品だといいます。
西森作品から受けた影響を話す際、赤坂さんは「こんなにせりふが多くてもいいんだ」と述べています。
赤坂さんは、論理的な部分にも西森作品の影響を感じていると話します。
台詞の量だけでなく、言葉で人物の考えをたどれる作りにも注目した発言です。
健助の思い込みは、返答と心の声で分かる
『道士郎でござる』第2巻には、健助が白瀬エリカを追いかけて話しかける場面があります。
盗んだと言ったエリカに、健助は、なぜそんなことを言ったのかと尋ねます。
その後、健助はエリカが泣いているかと思ったと話しますが、エリカは、なぜ自分が泣くのかと返します。

このやり取りでは、健助の問いにエリカが答えるだけではありません。
健助は、相手の様子から想像したことまで言葉にしてしまい、エリカからその前提を否定されます。
読者は、健助が何を思い込んでいたのかも含めて、二人の返答を読めるのです。
さらに健助は、エリカの絆創膏を見て、自分が勝手に想像しただけだったと心の中で振り返ります。
口に出した言葉の後に、思い込みを指摘された健助の考えが続きます。
健助が事件で担う役割は、強い人物のそばにいる同級生の記事で紹介しています。
人前の言葉と内面には、少女漫画との接点もある
西森作品の人物が心の中で思うことには、飯田一史さんも注目しています。
人前では格好をつけたくても、思い通りに振る舞えない人物の内面に、少女漫画とのつながりを見ています。
西森さんの少女漫画の読書歴では、その見方を紹介しています。

まとめ
赤坂さんの発言を踏まえると、西森作品の台詞の多さは、人物の考え方まで楽しむ読み方につながります。
誰が何を思い込み、相手にどう返され、返答を受けて何を考え直したのか。
その順を追って読むと、一言の受け答えの後にも、可笑しさが続いているのが分かります。


コメント