『GS美神』文庫版の違いは?創作秘話・寄稿・特別編の楽しみ

ルシオラが描かれたGS美神 極楽大作戦 文庫第19巻の表紙 椎名高志
『GS美神 極楽大作戦!!』文庫第19巻/椎名高志、小学館。

『GS美神 極楽大作戦!!』の文庫版は全23巻です。
通常の少年サンデーコミックス全39巻とは巻の区切りが異なり、椎名高志がキャラクター作りを振り返る企画や、漫画家・アニメスタッフの寄稿も加わっています。
最終巻には、連載終了後に描かれた特別編も収録されています。

通常版は全39巻、文庫版は全23巻

『GS美神』は1991年から1999年まで連載された、除霊を商売にする美神令子と助手たちのコメディです。
少年サンデーコミックスは全39巻で完結しています。

文庫版は連載開始25周年を記念して、2016年に刊行が始まりました。
2018年に発売された第23巻が最終巻です。
巻数が違うため、続きを揃えるときは手元の本がどちらの版か確かめたいところです。

GS美神の文庫第19・20・21巻などを並べた写真
『GS美神 極楽大作戦!!』文庫第19・20・21巻など/椎名高志、小学館。写真掲載:こーやこーや。 出典

文庫第1巻は328ページ、最終巻は304ページあります。
全23巻にまとめた本編とともに、作者自身や作品に関わる人たちの言葉を読めるのが、この版の楽しみです。

「SECRET REPORT」でキャラクターの創作秘話を読む

文庫版の追加企画の一つが「SECRET REPORT」です。
椎名本人が、登場人物の創作秘話を語ります。

第19巻の紹介では、ワルキューレとジークフリートが対象になっています。
第20巻ではルシオラ、ベスパ、パピリオ、最終第23巻では美神令子の両親を取り上げています。

本編でその人物の言動を追い、創作秘話では椎名がその人物をどう作ったかを読む。
物語を楽しんだ後に、作者の側から見た人物作りにも触れられます。

「My GS」には、漫画家やアニメスタッフも寄稿

もう一つの追加企画は、エッセイとイラストの寄稿です。
第19巻の「My GS」には、『THE UNLIMITED 兵部京介』の漫画を担当した大柿ロクロウが参加しています。
美神、横島、おキヌの三人を描くイラストと、椎名への思いを語る文章が載っています。

文庫第19巻に寄稿した大柿ロクロウが描く美神・横島・おキヌ
文庫第19巻の寄稿「My GS」/大柿ロクロウ、小学館。写真掲載:こーやこーや。 出典

第20巻には、テレビアニメ『GS美神』の作画監督を務めた加々美高浩が寄稿しました。
掲載された三人のイラストに加え、アニメの制作当時を振り返る文章も読めます。
漫画家の描く三人と、アニメを作った人の描く三人を、続く二冊で見比べられるのです。

文庫第20巻に寄稿した加々美高浩が描く美神・横島・おキヌ
文庫第20巻の寄稿「My GS」/加々美高浩、小学館。写真掲載:こーやこーや。 出典

最終第23巻には、高橋留美子が寄稿しています。
椎名にとって高橋は、漫画家を目指すきっかけになった作者です。
高橋も椎名の初期作品から読んでいたと、後の対談で話しています。
二人の影響と交流を知ると、椎名が憧れた漫画家の描く『GS美神』にも目を向けたくなります。

最終巻には「ブレイク・ユア・ディスティニー」も収録

文庫第23巻には、特別編「ブレイク・ユア・ディスティニー」も入っています。
2013年の復興支援企画「ヒーローズ・カムバック」に向けて描かれた、美神たちの新しい短編です。

椎名高志が2013年の特別編紹介に掲載した美神と横島のコマ
2013年の特別編紹介に掲載された美神と横島/椎名高志の「完成原稿速報・ブログ版」。 出典

椎名は発表当時のブログで、初期の設定を基本にし、絵柄も自分が読み返して安定していたと思う時期を土台にしたと説明しています。
『MISTERジパング』の信長と『一番湯のカナタ』のセイリュートも、ゲストとして登場します。
ただし、昔の漫画をそのまま再現するのが目的ではなく、そのときの自分が描く新作だと話しました。

文庫版では、本編を読み終えた後に、この短編も続けて読めます。
懐かしい美神たちに、連載終了後の椎名がもう一度向き合った仕事まで収めているのです。

まとめ

文庫版では、美神たちの物語を読む楽しみに、作者の創作秘話や、別の描き手から見た『GS美神』も重なります。
好きだった人物を読み直しながら、その人物を作った椎名や、作品を楽しんだ人たちの言葉にも触れられる。
本編を一度読み終えた人にも、巻末まで目を向けたくなる版です。

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