あだち充さんのデビュー作は、1970年の『消えた爆音』です。
原作者と組んだ作品を描いた後、『ナイン』『陽あたり良好!』『みゆき』などを手がけ、1981年に『タッチ』の連載が始まります。
その間には、少年誌と少女誌の両方で、野球や恋愛、仲間との暮らしを描いた仕事がありました。
1970年、原作付きの『消えた爆音』でデビュー
少年サンデーの公式略歴では、1970年に『デラックス少年サンデー』の『消えた爆音』でデビューしたと案内されています。
この作品の原作は北沢力さん、漫画はあだちさんです。
あだちさんは、石井いさみさんのアシスタントを経験して、商業誌での仕事を始めました。

初期には、ほかの原作者と組んで漫画を描く仕事も重ねています。
少女誌では、やまさき十三と野球漫画を描いていた
1970年代の仕事には、やまさき十三さんと組んだ「甲子園シリーズ」があります。
『ああ!青春の甲子園』第1巻に収められているのは、『初恋甲子園』の上巻です。
出版社の紹介では、このシリーズは1976年の『週刊少女コミック』で始まったとされています。

エース投手の俊と、彼を支えるマネージャーの純子を中心に、甲子園を目指す青春を描く作品です。
少女漫画誌の仕事の中でも、あだちさんは野球と恋愛のある物語を描いていました。
『ナイン』では、野球と恋愛が重なる
1978年に始まった『ナイン』は、あだちさん自身が物語も手がけた野球漫画です。
小学館の作品紹介には、甲子園を目指すことだけでなく、気になる少女の笑顔が見たいという入部の理由が示されています。

野球の勝敗に、少年少女の気持ちや関係が重なる。
『ナイン』は、後のあだち作品につながる青春漫画として、初期の作品歴で大切な位置を占めています。
『タッチ』を知ってから『ナイン』を読むと、同じ野球漫画でも、人物たちの出会いから始まる別の青春に触れられます。
『陽あたり良好!』『みゆき』から『タッチ』へ
1980年には、『少女コミック』で『陽あたり良好!』が始まります。
かすみと下宿の仲間たちを描く作品で、担当の都築伸一郎さんとは、好きなホームドラマを題材にする方針を一緒に考えました。

同じ1980年には、『みゆき』の連載も始まりました。
主人公の真人が、妹のみゆきと、同級生のみゆきとの間で揺れる恋愛漫画です。
『ナイン』の連載期間は1978年から1980年、『陽あたり良好!』は1980年から1981年、『みゆき』は1980年から1984年。
少年誌の『ナイン』と、少女誌の『陽あたり良好!』には、連載時期が重なります。
『みゆき』も含め、舞台の異なる青春漫画を並行して描いていました。

そして1981年に、『週刊少年サンデー』で『タッチ』が始まります。
1982年度の小学館漫画賞では、『タッチ』と『みゆき』がともに評価されました。
野球漫画と恋愛漫画の二つの代表作が、並行して読まれていた時期です。
まとめ
原作付きの仕事を含め、野球と恋愛を描く経験は『タッチ』以前から重ねられていました。
少年誌と少女誌の作品を併せて読むことで、野球、恋愛、下宿生活と、青春を描く舞台の広さも楽しめます。


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