冨樫義博の初連載『てんで性悪キューピッド』とは?『幽遊白書』以前のラブコメ

てんで性悪キューピッド電子版第1巻の表紙 冨樫義博
『てんで性悪キューピッド 電子版第1巻』冨樫義博/集英社。書影出典:集英社。

冨樫義博さんの初連載は、1989年に始まった『てんで性悪キューピッド』です。
純情な少年・鯉昇竜次と、悪魔のまりあが一緒に暮らす恋愛コメディでした。
『幽☆遊☆白書』の前に、冨樫さんは少年と少女の関係を軸にした連載を描いていたのです。

極道の家の純情少年と、悪魔の家庭教師

第1巻の公式紹介によると、竜次は極道の家の跡取り息子です。
ただ、本人が憧れているのは妖精で、家庭のあり方に反発して家出を繰り返しています。
その家出の途中で出会うのが、悪魔のまりあです。

まりあは、純情な竜次をスケベに育てるという家庭教師の役目で、彼と暮らすことになります。
家庭教師といっても、教えるのは学校の勉強ではありません。
家庭に反発している少年のもとへ、さらに型破りな教師がやってくる。
この組み合わせから、性的なギャグも交えた騒動が始まります。

まりあ自身の気持ちも変わっていく

まりあを描いたてんで性悪キューピッド電子版第2巻の表紙
『てんで性悪キューピッド』電子版第2巻。冨樫義博/集英社。書影出典:集英社。

まりあは竜次へ働きかける側として登場しますが、話が進むと、彼女自身の気持ちにも変化が起きます。
電子版第2巻の紹介では、二人が初めてキスを交わし、まりあが悪魔としての目的を忘れ始める展開が示されています。

竜次がまりあに振り回される導入から、まりあが抱く気持ちへと話が進みます。
最初の設定から、二人の恋の行方へと関心が移っていくラブコメでもあります。
悪魔や吸血鬼が登場する設定と、相手への気持ちが変わる恋愛の話が、一緒に描かれています。

デビュー作と初連載は別の作品

集英社の人物紹介では、冨樫さんは1987年に読み切り『とんだバースディプレゼント』を発表し、1989年の『てんで性悪キューピッド』で連載作家として出発したとされています。
続く連載二作目が、1990年に始まった『幽☆遊☆白書』です。

つまり、最初に世に出た漫画と、最初に連載した漫画は別です。
読み切り時代を知るなら短編集『狼なんて怖くない!!』、初連載を知るなら『てんで性悪キューピッド』という入口があります。

現在の電子版は2巻構成。後日談も収録

集英社が案内している電子版は、第1巻・第2巻の構成です。
一冊に多くのページを収めた版で、第2巻には特別編『その後のてんで性悪キューピッド』も入っています。

電子版は2014年に配信が始まったもので、各巻の公式ページには試し読みが用意されています。

まとめ

純情な少年と、型破りな悪魔の家庭教師。
この二人の恋がどう進むのかも、『てんで性悪キューピッド』を手に取る楽しみです。
そのラブコメ自体を楽しむことで、バトル漫画の作者という印象だけでは見えにくかった、冨樫さんの出発点にも触れられます。

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