2019年の『西森博之短編集』には、それまで単行本に入っていなかった読み切り9本が収録されています。
漫画に加えて、冒頭の作者による作品紹介も読みどころです。
西森博之さんは、短い漫画を頼まれてA子を描いた経緯や、昔の原稿が見つかったときの記憶を、自分の言葉で説明しています。

小学館の紹介では、『今日から俺は!!』の原点を感じさせるツッパリものから、青年誌の事務員コメディまでが入った本とされています。
代表作の長い連載以外に、何を描いていたのかを読める一冊です。
A子は、少ないページの漫画を頼まれて生まれた
冒頭の作品紹介で、西森さんは『事務員A子』を作ったきっかけを説明しています。
サンデーの編集長を務めていたMさんがヤングサンデーへ移った際、何か描かないかと声をかけられました。
西森さんは、ページ数の少ない漫画を描こうと考え、すっきりしないことを我慢できないA子を作ったと話しています。

A子には、『宿題女子高生A子』『アルバイトティッシュ配りA子』『事務員A子・カツ丼編』『ケーキ屋A子』もあります。
題名を見ても、学校や仕事など、A子の登場する場面が変わっていくのが分かります。
作者の作品紹介を読むと、どんな依頼からこの人物を描き始めたのかも知ることができます。
昔の原稿を見つけても、作者は経緯を覚えていなかった
『Super CHARGER』は、『軟派の高橋』の原稿を探していたときに見つかったそうです。
西森さんは、見つかった原稿が鉛筆で描かれていたこと、そこに書かれた題名を使ったことを説明しています。
ただ、描いた経緯はよく覚えていませんでした。

西森さんは、別のネームをサンデーで見てもらっていた間に、待ちきれず描いたのではないかと推測しています。
解説には、作者が覚えていることだけでなく、昔の自分の仕事を考え直しているところもあります。
読み切りの仕事から、代表作の始まりもたどれる
『今日から俺は!!』も、最初は読み切りとして考えた漫画だった、と西森さんは別の回想で話しています。
そのときは担当者の提案で、続きを残す終わり方へ変えました。
『今日から俺は!!』の連載誌と始まりで、このやり取りを紹介しています。
読み切りの構想から連載へ変わった『今日から俺は!!』に対し、本書では、後から単行本にまとまった短い仕事を読めます。
西森博之の主な作品一覧には、短編集のほか、小説や原作の仕事も載せています。
まとめ
短い依頼に応えた記憶と、描いた本人も忘れていた原稿が、一冊の作品紹介で並んでいます。
作者がその都度思い出したり、考え直したりする言葉も読めるところに、この短編集の楽しさがあります。


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