『D-LIVE!!』の乗り物は、主人公・斑鳩悟の腕前を見せる大切な存在です。
第1話のジェットスキーには、機体を見せ、操る手に近づき、走り出す姿を大きく描く流れがあります。
皆川亮二さんの絵では、機械の形と、悟がそれを動かす瞬間がつながっています。

手元を見せて、悟の運転へ近づく
第1巻の「地下水道」では、地下の水路を逃げる銀行強盗を追うため、悟が特別製のジェットスキーに乗ります。
機体を用意したメカニックの初音は、下水道の地図や操縦支援の機能を説明します。
しかし、悟は乗ったことがないと答え、汚い水に入ることにも不満をこぼしています。
悟の変化が見えるのは、ハンドルを握る場面です。
悟は機体の構造を見て、原付とほとんど同じだと確かめます。
そこから、顔を近くで捉えたコマ、ハンドルを操作する手へと進みます。
機体の正面も描かれているので、悟の手と、これから動き出す乗り物のつながりが分かります。

発進は、機体全体を見せる大きなコマで
次の見開きは、水面と機体を近くで捉えるところから始まります。
悟の表情を挟んだあと、ジェットスキーが走り出す大きなコマになります。
悟は体を前に倒し、機体の前では水が勢いよく跳ねています。
ここで悟が口にするのが、「今、お前に生命を吹き込んでやる!!」です。

発進のあとには、水を浴びた初音と、奥へ伸びる水しぶきが描かれます。
悟を見送る初音の反応まで入ることで、走り出した勢いが周囲にも伝わっていると分かります。
機体だけを近くから見せるコマと、悟を乗せた全体を見せるコマを続け、最後には進んだ先も見せる。
ジェットスキーの形を確かめる時間が、悟の運転を楽しむ時間へ変わっていきます。
技の名前と一緒に、機体がどう動いたかを見せる
強盗との追走では、悟が空中でジェットスキーを横に回転させます。
大きなコマには、回転した機体、体を傾ける悟、悟を狙って銃を構える強盗が一緒に描かれています。
強盗がバレルロールだと驚くときには、読者もすでに、その動きを目にしています。

続くコマでは、水しぶきが強盗の視界を遮ります。
回転する機体を描いたあと、水しぶきを浴びた強盗の顔を近くから見せる。
機体の動きと、強盗の反応を続けて読める構成です。
乗り物の技に詳しくなくても、悟が何をして、追われる強盗に何が起きたかを追えます。
建物や乗り物を描きたかった皆川亮二
皆川さんは、デビュー作『HEAVEN』の着想を語る集英社の新人賞インタビューでも、昔の建物や乗り物を描きたかったと話しています。
その作品では、描きたい建物から物語の世界を考えていきました。
皆川さんがデビュー作を「背景が主役」と説明していたことからも、建物を描くことが作品の大切な要素だったと分かります。

『D-LIVE!!』の第1話では、形を描き込まれた機体が、悟の操作によって走り出します。
どんな乗り物なのかを説明する場面に加え、その乗り物を使う場面が大きな見せ場になっています。
まとめ
ジェットスキーに詳しくなくても、悟が乗りこなす場面は楽しめます。
機体を知ることと、悟の腕前に驚くことが、一つの場面の中でつながっているからです。
『D-LIVE!!』の乗り物を見る楽しみは、知っている車種を見つけることだけではありません。
知らなかった機械が、悟の手で格好よく動き出すところにもあります。

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