岡本倫は読者をどう揺さぶる?『エルフェンリート』で見直した描き方

岡本倫『エルフェンリート』第1巻・電子版の書影 岡本倫
『エルフェンリート』第1巻・電子版書影/岡本倫、集英社。

岡本倫さんは、かつては良い方向でも悪い方向でも、人の感情を揺さぶる漫画を描こうと考えていました。
しかし『エルフェンリート』を描く中で、嫌な気持ちになりたい読者は多くない、と考えるようになったと話しています。
作品を読んだ人に、どんな気分になってほしいのか。
2020年の本人インタビューには、岡本さんが描き方を見直した理由が語られています。

良い感情も、悪い感情も揺さぶりたかった

岡本さんが以前に目指していたのは、感情が良いほうへ動くか、悪いほうへ動くかを問わず、読者の心を揺さぶる作品でした。
その考えを変えたのが、『エルフェンリート』を描いていた時期です。
岡本さんは、漫画を読んで嫌な気持ちになりたい人は多くないと気づき、そうした描き方をやめようと考えるようになったと振り返っています。

岡本倫『エルフェンリート』第1巻・電子版の書影
『エルフェンリート』第1巻/岡本倫、集英社。 出典

自分が面白いと思った、現世へ戻る展開

一方で、読者を驚かせる展開への関心は、後年の『パラレルパラダイス』にも続いています。
同じ取材で岡本さんが反応のよかった例に挙げたのは、ヨータがケートスとの戦いで命を落とし、現世で目を覚ます話でした。

致命傷を負ったヨータと、周囲から名を呼ぶ仲間たち
『パラレルパラダイス』より。ヨータが致命傷を負った場面/岡本倫、講談社。 出典

ヨータが目を覚ましたのは、現世の病院です。
岡本さんがこの展開を選んだ理由に挙げたのは、自分が面白いと感じたことでした。
この展開への読者の反響を、うれしかったとも語りました。

現世の病院のベッドで目を覚ましたヨータ
『パラレルパラダイス』より。現世の病院で目を覚ますヨータ/岡本倫、講談社。 出典

岡本さんは同時期のインタビューで、人物を明るく描き、暗い雰囲気を長引かせない工夫も説明しています。
岡本さんは読者を驚かせる展開を考えながら、作品が与える気分にも気を配っていました。

まとめ

岡本さんは、読者を驚かせること自体をやめたのではありません。
本人が見直したのは、悪い気分にさせることも含めて、感情を揺さぶろうとする考えです。
後年の作品では、自分が面白いと思う展開で読者を驚かせる一方、読者の気分にも気を配っていました。

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