『総特集 望月ミネタロウ』には何が載っている?作者と作品を知るための読み方

ちいさこべえの人物が描かれた総特集望月ミネタロウの書影 望月ミネタロウ
『総特集 望月ミネタロウ』/河出書房新社。

『ドラゴンヘッド』を描いた人が、どんな漫画を読み、どんな仕事を重ねてきたのか。
『総特集 望月ミネタロウ』は、本人の長いインタビューに加え、対談、他作家の寄稿、作品別の評論を収めた一冊です。
2023年刊、A5判・288ページ。
この記事では、出版社の公開目次と、公開されている本人取材から、知りたいことに合う収録内容を紹介します。

作者の歩みと制作の話は、本人のロングインタビューから

本人の声で経歴や創作を知りたいなら、生い立ちからデビュー、刊行当時の作品までを扱う約2万5千字のロングインタビューが入口になります。
作品の刊行順だけでは分からない、その間に何を考えたのかを尋ねる資料です。

望月ミネタロウの写真を掲載したロングインタビューの扉ページ
『総特集 望月ミネタロウ』ロングインタビューの扉ページ/河出書房新社。 出典

公開されているインタビューの抜粋では、デジタル制作へ移った時期や、ネームを編集者に見せずに描いてきた理由まで話しています。
完成した漫画を読むだけでは見えにくい、作る途中の判断に触れられる内容です。

大友克洋との対談と、他の人から見た望月ミネタロウ

他の作家との関わりを読みたい人には、大友克洋さんとの初対談が用意されています。
出版社は、大友さんを望月さんが敬愛する漫画家として紹介しています。

また、浅野いにおさんや松本大洋さんらの特別寄稿、江口寿史さんや浅野忠信さんらのインタビューも収録されています。
対談では本人同士のやり取りを、寄稿や別の人への取材では、その人から見た望月さんの仕事を読めます。
誰の言葉なのかを確かめると、本人の制作の説明と、周囲が作品に感じた魅力を分けて受け取れます。

好きな作品の評論と、絵やスケッチから入る

『バタアシ金魚』についてはいしかわじゅんさん、『ドラゴンヘッド』については斎藤宣彦さんの文章が収録されています。
特定の作品を好きになった人は、その作品の評論から読み始めることもできます。

食の場面や靴・ファッションを取り上げる文章もあり、作品名から探すだけでなく、食べ物や装いに注目する入口もあります。
作家を知るための本でも、好きな場面や絵柄から入れる構成です。

絵を見たい場合には、カラーページやキャラクターのスケッチ、仕事部屋の紹介があります。
作品リストと年譜も収録されているため、気になった漫画が経歴のどこに位置するのかも追えます。

本人にとっても、仕事を残す一冊だった

この本の話が来たとき、望月さんは、自分にはこうした特集本の縁がないと思っていたので、素直にうれしかったと話しています。
2023年に収録された取材の終盤で述べていたのは、当時まだ幼かった子供に、将来、自分がどんな仕事をしてきたか見せられるという喜びでした。

ちいさこべえの人物が描かれた総特集望月ミネタロウの書影
『総特集 望月ミネタロウ』/河出書房新社。 出典

その取材では、漫画家を生き方として感じ始めていることと、これからも漫画で表現していたいという希望も語っています。

まとめ

望月さんの作品は、青春、ホラー、人々の暮らしへと題材を変えてきました。
好きになった一作の作者を知ろうとすると、その作品の話だけでは収まらない歩みに出会います。
この特集本は、本人が語る仕事と、他の人が受け取った作品の魅力を行き来する入口になります。
一作への興味を、同じ作者のほかの漫画へ広げたいときにも読める一冊です。

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