『波よ聞いてくれ』の台詞はどう作る?沙村広明の会話のテンポとギャグのメモ

アニメ 波よ聞いてくれでヘッドホンを着けマイクに向かうミナレ 沙村広明
アニメ 波よ聞いてくれ のマイクに向かうミナレ/©沙村広明・講談社/藻岩山ラジオ編成局。

沙村広明さんは、一つのコマに吹き出しを五つ、六つと並べ、会話が一気に進む場面を書くのが好きだと話しています。
『波よ聞いてくれ』では、安野モヨコさんの『ハッピー・マニア』のテンポを意識し、主人公の喋りを楽しめる漫画を描こうとしていました。

ミナレが延々と喋っていても面白い、読むラジオという構想を、どんな書き方で形にしたのか。
2020年の取材で、沙村さんは、メモしてきたギャグを、作中の番組への投稿として使えることも話しています。

2020年のインタビューで話す沙村広明
沙村広明/2020年『波よ聞いてくれ』インタビュー、撮影:笹井タカマサ。 出典

会話のテンポでは『ハッピー・マニア』を意識した

沙村さんは、2020年のWebNewtypeのインタビューで、恋愛コメディを考えたとき、頭にあったのが『ハッピー・マニア』だと語っています。
ページの半分ほどを使ったコマに、いくつもの吹き出しが並び、話が進んでいく。
そのノリやテンポを、『波よ聞いてくれ』では、これまで以上に意識したという説明でした。

安野モヨコ ハッピー・マニア 新装版第1巻の2020年の新帯付き表紙
『ハッピー・マニア』新装版第1巻/安野モヨコ、祥伝社(2020年出版社発表の新帯付き書影)。 出典

沙村さんは、こうした会話の台詞を考えることも楽しいと話しています。
主人公の喋る内容だけでなく、コマの中で言葉が続いていく勢いも、描きたい会話の一部でした。

台詞を書く時間は『無限の住人』より増えた

同じ取材で、沙村さんは『無限の住人』と『波よ聞いてくれ』の台詞にかける時間を比較しています。
『無限の住人』では一話の台詞を半日ほどで書いていたのに対し、『波よ聞いてくれ』では二日ほどかけると話しました。

ヘッドホンを着けマイクを持つ鼓田ミナレを描いた波よ聞いてくれ第1巻の表紙
原作『波よ聞いてくれ』第1巻/沙村広明、講談社、2015年刊。 出典

ラジオ放送がある回は、コラム一本を書くほどの文字量になるという説明です。
沙村さんは、楽しいけれど大変だと話しています。

短編の経験から、場面を次々と切り替える

『波よ聞いてくれ』の作り方について、沙村さんは、それまで描いてきた短編の経験も挙げています。
ページを縮め、場面を次々と切り替える考え方が身についているという話でした。

沙村広明のおひっこしに登場する人物たちが会話をする原作ページ
原作『竹易てあし漫画全集 おひっこし』収録「おひっこし」より/©沙村広明/講談社。 出典

沙村さんは、2020年の取材で、『波よ聞いてくれ』は一話二十二ページで、その中で満足してもらいたいと語っています。
会話をたくさん入れながら、場面を切り替えて話を進める。
台詞の多さと一緒に、短いページ数の中でどう読ませるかも考えていました。

ギャグのメモを、ラジオ番組への投稿として使える

沙村さんは、同年の本人インタビューで、コメディを描くとき、思いついたギャグを携帯電話へメモしていると話しています。
『ハルシオン・ランチ』の頃も、そうしたネタをためていました。

沙村さんは、ためたギャグを、作中の会話へ入れにくいこともあったと話しています。
『波よ聞いてくれ』では、ラジオ番組へ届くリスナーの投稿として、そのネタを使える。
それまでの会話と関係のないネタにも、作中で使う場面ができたのです。

まとめ

沙村さんは、ミナレの長い台詞を作りながら、ためてきたギャグにも番組への投稿という出番を与えていました。
登場人物の会話には入れにくかったネタも、放送の中に出せる。
『読むラジオ』には、主人公の喋りと、作者がためてきたギャグを一緒に楽しめる作りもあるのです。

この記事もおすすめ

コメント

アクセス解析について
タイトルとURLをコピーしました