『クロノクルセイド』のロゼットは、銃を撃つだけでなく、跳び、走り、足場を失って落ちていきます。
森山大輔さんは、腕と脚の開き方、服の流れ、周囲の線、コマの形を組み合わせて、その動きを描いています。
第1巻冒頭の港の事件を、ロゼットの体の向きと、動作が次のコマへ続く様子から見ていきましょう。
跳ぶ体から、銃を構える姿へ
港で悪魔を追うロゼットには、空中を移動する姿と、脚を曲げて銃を構える姿が続けて描かれています。
跳んでいるコマでは体が斜めになり、伸ばした腕と曲げた脚が、胴体から離れて見えます。
ロゼットの周囲にも斜めの線が入り、体の動きに勢いを添えています。

その下の大きなコマでは、ロゼットが脚を曲げ、腕を伸ばして銃を向けています。
脚を曲げた姿と、伸ばした腕を一緒に見せることで、移動から射撃へ切り替わった様子を追えます。
顔のアップだけではなく、手足と銃を同じコマに収めているところが、動作を見比べやすくしています。
悪魔の移動に続き、ロゼットとクロノも船へ入る
悪魔が港から船へ逃げ込むと、ロゼットはクロノを引っ張って追いかけます。
悪魔が船へ向かう斜めのコマに続き、ロゼットが体を前へ傾け、クロノを連れて動き出すコマが入ります。
追う側と逃げる側の動きが、順番に示されています。

次のページでは、船が動き出す全景を挟み、二人が船内の扉のところへ入った姿が描かれます。
走るコマだけを続けず、船の外側と、二人がたどり着いた場所を見せています。
急いで移動する勢いと、今どこにいるのかを知るための景色が、交互に入る作りです。
動きを止めるコマが、次の急変を目立たせる
船内では、ロゼットとクロノが立ち止まって話します。
クロノの目や顔が大きく描かれた後、扉をくぐる二人の後ろ姿、荷物の積まれた部屋の全景へと、コマが続きます。
走っていたときの斜めの姿勢から、床に立つ姿へ変わっています。

二人の体の動きが小さくなったぶん、顔と会話、部屋の中にある物へ目が向きます。
部屋を上から見るコマでは、二人が荷物に囲まれた空間にいることも分かります。
この間に、クロノは悪魔が人間の魂を糧にする可能性を話し、ロゼットは部屋に積まれた金や美術品を見ています。
そこへ悪魔が現れ、ロゼットの足場が崩れます。
立って話していた姿から、足が床を離れた姿へ、動きが急に変わります。
速く動くコマの多さだけでなく、いったん立ち止まる場面との違いも、事件の慌ただしさを作っています。
床を失う場面では、縦のコマを下へ落ちていく


ロゼットの叫びに沿うように、縦長のコマが下へ伸びます。
周囲にも縦の線が入り、横へ走るときとは違う落下の向きを示しています。
下の大きなコマでは、ロゼットの曲げた脚と開いた手、周囲の蒸気が見えます。
上の階から機関部へ落ちたことが、体の向きと、たどり着いた場所の描写でつながっています。
左のページでは、機関部の中を見渡した後、ロゼットが銃を構え、クロノが走り出す姿が続きます。
落下の縦の流れが終わり、クロノの移動は横長のコマで描かれます。
一つの事件の中でも、追跡、会話、落下、別行動へと、動きの方向とコマの使い方が変わっています。
銃を撃つ場面の描写は、弾と十字形の効果を見ていく記事でも扱っています。
体の動きから発射までつなげて読むと、ロゼットの戦いを別の角度から楽しめます。
まとめ
ロゼットの体の向きを追うと、港から船の奥へ進む道筋も見えてきます。
体を大きく動かすコマの間に、二人が到着した場所や、そこで見た景色も入るからです。
大胆なポーズを眺めた後は、その一つ前と次のコマにも目を向けると、ロゼットの動きをつなぐ描写まで楽しめます。
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