『漫画家本vol.2 皆川亮二本』は、皆川亮二さんの作品と制作の背景を一冊に集めた本です。
4万7千字のロングインタビューに加え、仕事場の写真、アイデアノートやラフスケッチ、デビュー作『HEAVEN』の完全版を収録しています。
発売は2017年。
当時の『海王ダンテ』特集もあり、『スプリガン』『ARMS』で皆川さんを知った人が、ほかの作品や作り手の話へ進めます。

漫画で語ってきた作者に、週一回の取材で聞く
この本の責任編集を務めた三上信一さんは、皆川さんがかつて、漫画家は漫画で語ればよいという考えを話していたと振り返っています。
三上さんは、この本を作る際、取材を受けてもらえるか心配だったそうです。
取材・構成を担当した島田一志さんは、毎週一回、皆川さんにインタビューしたと説明しています。
島田さんは、繰り返し話を聞いて、この本のインタビューをまとめました。
二人の説明は、編集担当者の対談で読むことができます。

ロングインタビューは、皆川さんが子どもの頃に親しんだ作品から、自身が描いた作品までを扱っています。
好きな漫画や映画の話と、漫画家としての仕事の話を、ひと続きで知るための大きな読みどころです。
仕事場の写真で、絵を描く人の身近なものを見る
作品で銃や乗り物を描いてきた皆川さんが、どんなものを身の回りに置いているのか。
仕事場とコレクションの写真も、この本に収められています。

公開された写真には、車の模型を並べた棚や、制作のための机が写っています。
乗り物の作画に惹かれた人なら、車の模型が並ぶ棚にも目が向くでしょう。
漫画を描く机と、その周りに置かれたものを一緒に眺められます。
ラフや下書き、原案協力者の作品論も収録
制作資料としては、ゲーム『スプリガン ルナヴァース』のラフや、『海王ダンテ』の下書きなどが掲載されています。
完成した作品を知ってから、制作の途中の絵を見るための資料です。
『ARMS』の作品論には、原案協力者の七月鏡一さんも参加しています。
皆川さんの話に加えて、作品作りに関わった別の人の言葉も読めます。

『スプリガン』の原作者と『ARMS』の原案協力者の違いは、三作品の制作上の名義と役割で紹介しています。
『海王ダンテ』の特集も、刊行当時に連載していた作品の紹介です。
原作の泉福朗さんと皆川さん、それぞれのインタビューが収められています。

デビュー作と、ほかの漫画家によるイラストも楽しめる
『HEAVEN』は、雑誌に初めて載った際にカットされたページを加えた完全版で再録されています。
制作についての文章を読むだけでなく、作者の出発点となった漫画そのものも読める本です。

『HEAVEN』の着想については、皆川さんが昔の建物から天国を考えた話も紹介しています。
ほかにも、浅田弘幸さん、三原ミツカズさん、松本次郎さん、押切蓮介さん、三輪士郎さんが皆川作品のヒロインを描く企画を収録しています。
東京国立博物館の東洋館を訪ねる企画もあり、漫画の制作資料に関心がある人だけでなく、絵や作品の世界を眺めたい人にも楽しめる内容です。
まとめ
『ARMS』を読んだあとに、皆川さんの語りや七月さんの作品論を読み、それから同じ漫画に戻ってみる。
『皆川亮二本』は、完成した漫画を楽しんだ人に、その漫画を作った人へ関心を広げる入口を用意しています。
本の最初から順に読むほかに、好きな作品を手がかりに読みたい項目を選ぶ、という楽しみ方もできます。


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