森山大輔の銃と悪魔祓いの描写――『クロノクルセイド』の弾・光・十字

ロゼットとクロノを描いたクロノクルセイド新装版第1巻の表紙 森山大輔
『クロノクルセイド』新装版第1巻/森山大輔、少年画報社。

『クロノクルセイド』では、シスターのロゼットが銃を撃って悪魔と戦います。
森山大輔さんは、手に握った銃の形、銃口から広がる十字や煙、船全体を囲む結界を、それぞれ違う大きさと構図で描いています。
第1巻冒頭の港の事件には、弾を受け取る小さな動作から、福音弾を撃つ大きな見開きまであります。
銃の細部と、悪魔祓いの力が発動する瞬間を、実際のコマで見ていきましょう。

銃を横から見せ、次は銃口をこちらへ向ける

ロゼットが悪魔の前に立つ場面では、銃身、握り、引き金の周りの形が横から描かれています。
銃の下側に付いた円筒には十字の印があり、手袋を着けた手が握りを支えています。
修道服や十字の印と、金属製の武器が、一人の装備に収まっている姿です。

修道服にゴーグルと手袋を着け、銃を構えるロゼット
『クロノクルセイド』新装版第1巻/森山大輔、少年画報社。 出典

戦闘が始まると、銃は横向きのままではありません。
ロゼットが腕を伸ばして狙うコマでは、銃が画面の奥へ向かい、福音弾を撃つ直前には、大きな銃口が読者のほうへ突き出してきます。
銃身を横から描くと形を見せやすく、正面から大きく描くと、これから撃つ緊張を見せられます。
同じ道具を違う角度で見せることで、装備の紹介から戦闘の切迫感へ移っていきます。

ロゼットの服装や銃がレトロな街にどう収まるかは、港や街並みの作画でも見ていけます。
ここでは、実際に使ったときの描写を追ってみましょう。

聖火弾の銃撃は、十字形の効果で見せる

ロゼットはクロノから聖火弾を受け取り、銃の準備をして撃ちます。
箱を開く、弾を受け取る、銃を扱う、発射するという動作が続くため、悪魔を攻撃する力が、手元の道具から放たれたものだと分かります。

聖火弾を受け取り、十字が広がる銃撃を行うロゼット
『クロノクルセイド』新装版第1巻/森山大輔、少年画報社。 出典

聖火弾を撃ったコマでは、白く広がる煙のような部分に、細長い十字がいくつも重なっています。
銃の輪郭は黒い線でくっきり残り、その先では、煙と十字が悪魔の顔の前へ広がっていきます。
金属の形を見せる描写と、悪魔に作用する力を見せる描写が、一度の発射の中でつながっています。

その後、ロゼットが普通の弾を撃っても、悪魔を止められない場面が出てきます。
ロゼット自身が通常弾では駄目だと判断しており、銃を持っているだけで、どんな悪魔にも対応できるわけではありません。
弾の種類を替えることが、戦い方にも、発射を描くコマにも関わっています。

十字結界は、銃撃より広い範囲を見せる

クロノは、船に取り付けた装置で十字結界を発動します。
装置を使って結界を発動する場面も、悪魔祓いの力と道具が組み合わされた例です。

クロノの十字結界に囲まれた船と、銃を構えるロゼット
『クロノクルセイド』新装版第1巻/森山大輔、少年画報社。 出典

結界が発動すると、船を上から見たコマに、いくつもの白い十字が並びます。
ロゼットの銃撃では、銃を持つ手や悪魔の顔へ視線が近づきました。
結界では船全体を見せ、十字がどこを囲んでいるか分かる構図になっています。
同じ十字でも、銃の先に広がる攻撃と、船を囲む結界では、画面に占める範囲が違います。

クロノが発動を告げる台詞の直後に船の全景が入るため、準備していた装置と、その効果を結び付けて読めます。
力の名前だけを説明するより先に、船のどこへ働いているのかが目に入る描写です。

福音弾は、発射の大きさをロゼットの体でも見せる

港の事件の最後に、ロゼットは福音弾を撃ちます。
銃口を大きく見せたコマの次に、発射を描く見開きが続きます。

福音弾を撃つロゼットと大きな発射音を描く見開き
『クロノクルセイド』新装版第1巻/森山大輔、少年画報社。 出典

銃口から白い噴き出しが広がり、大きな効果音が見開きを横切ります。
ロゼットは腕を伸ばし、片足を後ろへ上げ、服や髪も大きく動いています。
発射の勢いは、悪魔の姿や船の周りの煙だけでなく、撃ったロゼットの体にも表れています。

続く武器開発部の場面では、ロゼットが福音弾の反動の大きさを話します。
そこには聖火弾と福音弾の説明図もあり、弾の形と、撃つ人・撃たれる悪魔が、小さく描かれています。

聖火弾と福音弾の形、撃ち手と悪魔を示す原作の説明図
『クロノクルセイド』新装版第1巻/森山大輔、少年画報社。 出典

福音弾の説明図では、弾丸の手前で撃ち手が大きくのけぞっています。
聖火弾の説明図では、銃と悪魔の間を進む弾と十字が示されています。
戦闘を大きく描く見開きと、仕組みを簡単に伝える模式図で、表現を切り替えているのです。

まとめ

銃を眺めていた視線は、ロゼットが撃つと、その先の悪魔や船へ向かいます。
弾を使う準備と、発射が周囲に与える影響をつないで描くので、手元の小さな道具から大きな力が放たれる様子を追えます。
森山大輔さんの作画を見るときには、銃そのものの細かさに加えて、撃つ前後でコマの大きさや視線の向きがどう変わるかも、楽しめるところです。

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