沙村広明の画力はどう育った?美術予備校の課題と、身近な上手い絵

2020年のインタビューで話す沙村広明 沙村広明
沙村広明/2020年『波よ聞いてくれ』インタビュー、撮影:笹井タカマサ。

沙村広明さんは、最も画力が上がった時期として、美術予備校に通っていた頃を挙げています。
一日や二日で一枚を仕上げる課題を振り返り、周囲の上手い人から学べることも話しています。

沙村さんは、多摩美術大学の絵画科油画専攻を1993年に卒業しています。
その前から続けていた練習と、大学で出会った漫画を、本人の言葉からたどります。

2020年のインタビューで話す沙村広明
沙村広明/2020年『波よ聞いてくれ』インタビュー、撮影:笹井タカマサ。 出典

高校の休み時間に、自分の手をノートへ描いていた

沙村さんが高校時代の練習として話しているのが、人間の手です。
2017年の藤本タツキさんとの対談で、安彦良和さんが描く手をきれいだと思い、自分も描こうとした経緯を振り返っています。

沙村さんは、休み時間に自分の手をノートへ何度も描いていました。
好きな漫画家の絵を見て憧れるだけでなく、自分の手を見ながら、実際に描くことを繰り返していたのです。

美術予備校では、一日や二日で一枚を仕上げた

同じ対談の最終ページで、沙村さんは、美術予備校の頃に最も画力が上がったと答えています。
大学の課題では一週間や二週間かける一方、予備校では二日で一枚、ときには一日で一枚を描くという比較でした。

一枚へ時間をかけ続けるよりも、短い期限で仕上げ、次の一枚に取り組む課題が多かったと分かります。

沙村さんは、予備校時代を、時間との戦いだったと振り返っています。

上手い学生が、すぐ近くの手本になる

沙村さんは、課題の数に加えて、周囲にどれほど上手い人がいるかも大切だと話しています。
同じ場所で描く生徒からも学べる、という考えです。

藤本さんが、自分より上手い人を見ると悔しいと応じると、沙村さんは、その人を見て描けばいい、と返します。
悔しさを話す藤本さんに、沙村さんは、上手い人から学んで描く方法を勧めています。

沙村さんはこの対談で、藤本さんと構図を考え、万次とアグニが向き合う共同イラストのラフも描いています。

藤本タツキとの対談で公開された、沙村広明が万次とアグニの構図を描いたラフ
2017年の藤本タツキ×沙村広明対談で、沙村が描いた共同イラストのラフ/©藤本タツキ・集英社、©沙村広明・講談社。 出典

大学の漫画研究会では、好きな漫画の幅も広がった

大学では、沙村さんは漫画研究会に入りました。
周囲には「ガロ」を読む学生もいて、それまで知らなかった作家の面白さに触れたと話しています。

大学に入った頃には、星野之宣さんの『2001夜物語』も読み、その細かな絵に驚いていました。
漫画研究会に入ったことで、沙村さんが知る作家の幅も広がっていたのです。

沙村さんは、大学在籍中から、デビュー作となる『無限の住人』の第1話を描き、卒業後も制作を続けました。
絵を練習してきた学生が、その絵で漫画を投稿するところまで進んでいったのです。

無限の住人アフタヌーンKC第1巻の表紙に描かれた万次
『無限の住人』アフタヌーンKC版第1巻/沙村広明、講談社。 出典

まとめ

沙村さんは、多く描く課題に加えて、周囲の上手い人を見ることを大切にしていました。
藤本さんにも、その人を見て描けばいい、と返しています。
身近な描き手も手本になるという考えが、予備校を語る言葉と、後輩への助言の両方に表れています。

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