真島ヒロは、何を描くか迷った時、読者が見たいと思う方を選ぶと話しています。
本人は、漫画を描くのが楽しくて仕方がないとも語っています。
この二つは、どう両立しているのでしょうか。
本人の話を読むと、描きたいものを持ちながら、読者にもその面白さを伝える工夫が見えてきます。

読者の反応を読んでも、全てを採用するわけではない
2019年の本人対談で、真島は、展開を迷った時には読者が見たいと思う方を優先すると説明しています。
同じ対談では、自分が描きたいものと読者が見たいものは近く、幸せな方だとも話しました。
好きなものを描く楽しさと、読者に喜んでもらう楽しさが、本人の仕事の中で重なっているのです。
では、読者が見たいものをどう知るのでしょうか。
2020年の本人取材では、ファンレターや当時のTwitterの反応を参考にすると話しています。
ただし、寄せられた意見を作品に反映するかどうかは別だとも付け加えています。
反応だけでは判断が偏るとして、自分自身のよかった、ダメだったという感触も大切にしていました。
さらに、担当編集者にも見てもらい、できるだけ客観的に判断するという説明です。
中学生だった自分が、ワクワクできるか
読者を思い浮かべる時、真島は自分の経験も使っています。
2018年のマガジン新人賞の審査に関する取材では、今の自分より、中学生だった頃の自分が満足できる、ワクワクする作品を読みたいと話しました。
この時の真島が思い浮かべた読者は、少年漫画にワクワクしていた頃の自分でした。
本人が勧めたのは、描きたい場面や展開を、読者にも楽しんでもらうために考えることでした。
作者が熱くなっているだけでは、読者まで熱くなるとは限りません。
どう描けば読者も熱くなれるのかを考えるという助言です。
ナツは、最初から格好よく登場しない
その工夫が分かる例として、同じ2018年の取材では、『FAIRY TAIL』第1話が取り上げられています。
ナツは乗り物に弱く、列車内でふらついた姿から登場します。
最初は弱そうな少年を見せ、最後には格好よく決める。
真島は、主人公に弱点を作る構成として、この場面を挙げました。

頼りなく見えたナツが、見せ場では魔導士だと名乗り、力を振るう。
弱点を見せた後で主人公を格好よく描くという、本人の説明に沿った展開です。
真島はクライマックスの大ゴマでも、読者に主人公の顔や力強い目を向けるよう意識すると説明しています。

描きたい動きを、見た目にも生かす
読者に伝える工夫は、物語だけに限りません。
真島はナツを、動き回ってアクションをする人物として考えていました。
そこで、動く時にたなびくものがあれば絵が映えると考え、マフラーを付けています。

真島は、全身を黒く塗っても誰か分かるよう、最後にデザインを調整すると説明しています。
ナツではマフラーが、その特徴にもなるのです。
ファンタジーをマガジンで描く時にも、真島は主人公の感情など、読者に伝わる部分を編集者と考えていました。
その経緯は、『RAVE』でファンタジーに挑戦した理由で紹介しています。
まとめ
真島は2019年の対談で、作品を作ることを、どれだけ読者と握手できるかと表現しました。
作者が思い付いた面白さを、読者にも感じてもらえるかを考え、反応を読み、編集者とも相談する。
描く人と読む人の両方が楽しめるように、真島は判断を重ねています。
ナツの弱点や大ゴマを見ると、描く人の楽しさを、読む人のワクワクへつなごうとする工夫が分かります。

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