1999年にマガジンで始まった真島ヒロの初連載『RAVE』。
真島がファンタジーを選んだのは、自分が好きなジャンルだったからです。
同時に、当時のマガジンに少ないジャンルで、新しいヒットを生みたいという考えもありました。
ただ、連載を目指していた頃の真島は、ファンタジーでは編集部の了承を得られないだろうと思い、現代ものの企画を出していたといいます。
そこから『RAVE』につながったのは、担当編集者の後押しと、好きな世界を読者に届けるための試行錯誤でした。

好きなジャンルが、誌面では珍しいジャンルだった
真島は子供の頃から『ドラゴンクエスト』が好きで、ノートにも冒険漫画を描いていました。
ファンタジーは、連載のために初めて選んだジャンルではありません。
最初のマガジンへの持ち込みでも、自分が描きたいファンタジーを描いていました。
一方、連載を始める際には、雑誌でどう受け入れられるかも考えていました。
2019年の本人対談では、当時の誌面にファンタジーが少なかったことを、新しいものを描く機会として見ていたと説明しています。
好きなジャンルで描くことと、他にない作品でヒットを目指すことが、真島の中では重なっていたのです。
編集者が勧めたファンタジーも、すぐには形にならなかった
真島が現代ものの企画を試しても、なかなか連載にはつながりませんでした。
試しにファンタジーを描きたいと相談すると、担当編集者は真島に向いていると賛成し、誌面にないことを強みにしようという話になります。
担当の賛成を得た後も、『RAVE』の準備は簡単には進みませんでした。
真島は2017年のインタビューで、約半年、ネームを描いては直す作業を続けたと振り返っています。
修正を重ねるうちに、作者も担当も何が面白いのか分からなくなり、一度企画を組み立て直しました。
そこで残したのは、ハル、プルー、島という三つの要素です。
描き直したネームを担当が面白いと評価し、ようやく連載につながりました。

ファンタジーを知らない編集者が、感情にこだわった
担当の松木則明は、真島が例に出す映画やゲームの話が通じないほど、ファンタジーに疎かったといいます。
真島は、その松木が面白いと感じるなら、読者にも面白く伝わるのではないかと考えていました。

2018年の二人の対談で、松木はファンタジーの発想を真島に任せ、人物の感情や関係、主人公が行動する理由を重視したと説明しています。
真島が世界を広げようとする時にも、松木はその場面でもっと感情を出せないかと問いかけていました。
架空の生物や魔法を知らない読者にも、人物の気持ちなら伝わる。
その考えが、二人の打ち合わせの土台になっていたのです。
松木が手応えを感じた回として挙げたのが、ドリューとの戦いです。
仲間がハルに託す思いをつなごうと伝えたことが、第134話の場面に結びついたと振り返っています。
不思議な世界の戦いでも、仲間が一人に願いを託す気持ちは読者に届く。
編集者が大切にしたことは、こうした場面に表れています。

まとめ
『RAVE』は、真島が慣れ親しんだファンタジーを、同じ知識を持たない読者へ届ける挑戦でした。
誌面では珍しかったジャンルが、のちに王道と呼ばれる真島の漫画へつながっていく。
その歩みを支えたのは、好きな世界を広げる真島と、人物の気持ちを読者へ伝えようとした松木の組み合わせでした。
二人の出発点を知ると、『RAVE』の仲間を思う場面にも、好きなものをどう届けるかを考え続けた仕事が見えてきます。


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