『カイジ』はなぜ大槻のイカサマを見抜くだけでは勝てなかったのか

大槻が投げた賽の回る丼をカイジが押さえる カイジ
画像出典:『賭博破戒録カイジ』第4巻/福本伸行・講談社

カイジは、地下チンチロで大槻が細工したサイコロを使っていると気づく。
それでも、その場で大槻を問い詰めなかった。
相手の秘密を知ることと、勝負で相手に勝つことは違うからだ。
大槻の賽をみんなの前に出せなければ不正を示せず、出せても勝負を無効にされれば金は得られない。
カイジが狙ったのは、不正を暴く瞬間から大槻自身のルールで勝負を続けるところまでだった。

秘密を知っても、サイコロはまだ大槻の手元にある

三好が残した出目の記録は、大槻たちの勝ち方を疑う手掛かりになった。
だが記録だけでは、大槻がどんな賽を持っているかをその場の全員に見せられない。
大槻が普通の賽を振っている時に騒いでも、証拠は出てこない。

大槻の勝ち方の秘密に気づくカイジ
『賭博破戒録カイジ』第4巻/福本伸行・講談社

カイジたちは大きな金額を張り、大槻が親として賽を振る場を作る。
大槻は最初の二投で普通の賽を使い、カイジの反応を見る。
カイジが動かないため、大槻は三投目に細工した賽を投げた。
カイジは賽が丼の中で回っている時に飛び込み、現物を押さえる。

普通の賽を振ってカイジの様子を見る大槻
『賭博破戒録カイジ』第4巻/福本伸行・講談社
大槻の投げた賽が回る丼を押さえるカイジ
『賭博破戒録カイジ』第4巻/福本伸行・講談社
456の目しかない賽を周囲に示すカイジ
『賭博破戒録カイジ』第4巻/福本伸行・講談社

三好の記録がなければ賽を疑うところへ進めなかった。
一方、現物を全員に示せたのは、大槻が実際に使う三投目までカイジが待ったからだ。

不正が明らかになっても、大槻は勝負を終わらせようとした

細工した賽を見た労働者たちは怒る。
しかし大槻は、カイジが途中で丼を押さえたため出目はまだ決まっていない、と主張する。
勝負をノーカウントにすれば、カイジが賽を見つけても、張った金は手に入らない。

賽の出目は未確定だからノーカウントだと主張する大槻
『賭博破戒録カイジ』第4巻/福本伸行・講談社

そこでカイジは、勝負を続ける案を出した。
親である大槻の目を、456賽で出せる最低の「四」として扱い、カイジたちもあらかじめ用意した特殊な賽を使う。
大槻は自分の456賽を見つけられた後で、この条件を受け入れる。
大槻には、カイジたちも同じような賽を使うのだろうという見込みがあった。

勝負続行を提案するカイジ
『賭博破戒録カイジ』第4巻/福本伸行・講談社
カイジたちも特殊な賽を使うと告げる場面
『賭博破戒録カイジ』第4巻/福本伸行・講談社

不正の発覚だけで大槻に負けを認めさせたわけではない。
大槻が逃げるために持ち出した「まだ出目はない」という言い分を、カイジは勝負続行の理由に変えた。

大槻が作ったルールが、二度目の勝負まで残った

カイジが用意した賽は、すべての面が「一」だった。
大槻の456賽では、そのピンゾロより強い目を出せない。
しかも大槻は、賭け金の上限を外した勝負を受けている。
一度の勝ちでも、大槻から大きな金を取れる条件がそろった。

全ての面が一の賽でピンゾロを出すカイジたち
『賭博破戒録カイジ』第4巻/福本伸行・講談社

大槻は一度目の負けで席を立とうとする。
だが大槻が自分たちの賭場で決めたルールでは、親は通常二回続けて受ける。
カイジは勝ち金を加えた額を再び張り、二度目の親番も大槻に求めた。

二度目の親番を大槻に求めるカイジ
『賭博破戒録カイジ』第4巻/福本伸行・講談社

黒崎は不正の発覚後に現れ、カイジの賽を確かめ、大槻が作ったルールとの関係を説明する。
黒崎も、カイジたちが特殊な賽を使い、親である大槻が二度目の勝負を受けることを認めた。
大槻が自分の決めた条件を、負けそうになった途端に拒めなくなったのだ。

カイジの側に理があると判断する黒崎
『賭博破戒録カイジ』第4巻/福本伸行・講談社

大槻のイカサマを見抜くことは、勝つための最初の一歩だった。
カイジは使われた賽を全員の前で押さえ、ノーカウントを勝負続行に変え、大槻が作った親番と賭け金のルールを最後まで適用させた。
大槻を負かしたのは、強い賽だけではない。
大槻が自分に有利だと思っていた勝負の条件を、カイジが大槻自身に守らせたことだ。

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