「沼」に勝ったカイジ、坂崎、遠藤は、一緒に大金を手にして祝杯を上げた。
ところがカイジが目を覚ますと、自分の取り分が大きく減っている。
遠藤が最後に貸した金に、途方もない利息を付けて持ち去ったからだ。
遠藤には借用書がある。
それでもカイジが裏切られたように感じるのはなぜか。
この場面では、遠藤が金を出して勝負に加わった事実と、勝利後に取った方法を分けて考える必要がある。
遠藤の協力は、見せかけではなかった
カイジが「沼」を攻略しようとした時、遠藤は資金を貸した。
最初の貸付でも、遠藤は利息をはっきり要求している。
遠藤は無償でカイジを助ける仲間として勝負に入ったわけではない。
しかし、遠藤の金が攻略を支えたことも事実だ。
遠藤を最初から何もしていない詐欺師と見れば、三人で大当たりを喜ぶ場面の意味が抜けてしまう。


三人は同じ結果を喜べた。
だが、勝った金をどう使うかについては、同じ約束を持っていなかった。
カイジが分けようとした金に、遠藤は別の請求を持っていた
勝利後、カイジは残った金を地下の五人と自分で分けると話す。
その金は、カイジにとって地下の仲間を救うためのものだった。
遠藤もその場にいて、カイジの話を聞いている。

一方、遠藤には、勝負の途中でカイジ個人に貸した千万円の借用書があった。
そこには「10分3割複利」という条件が記されている。
第7巻で遠藤が最初に示した「1日3割」とは、別の貸付だ。
遠藤は仲間と山分けする金とは別に、カイジの取り分から返済を受けるつもりだった。
カイジが分配を語る時点で、二人が考える「残った金」の額は一致していない。

借用書は、金の持ち去り方まで説明しない
遠藤には貸した金と借用書がある。
だから、遠藤が何の根拠もなく勝利金を盗んだと書くのは正確ではない。
けれども遠藤は、その場で返済額をカイジと確かめてから受け取ったのではない。
遠藤は祝杯に薬を入れ、カイジたちが眠った後で金を運び出した。


遠藤の請求に根拠があることと、カイジに知らせず金を持ち去ったことは、別の話だ。
借用書の存在だけで、後者へのカイジの怒りまで消すことはできない。
逆に、遠藤のやり方に怒るために、彼が勝負中に差し出した金まで否定する必要もない。
カイジが最初に気にしたのは、仲間との約束だった
カイジは消えた金を前に、地下で待つ五人と石田の息子を思い浮かべる。
カイジがまず確かめたいのは、自分が仲間へ約束した金をまだ渡せるかどうかだ。
遠藤が回収したのはカイジ個人への貸付だが、その直後にカイジが数え直すのは他人へ渡す金だった。
カイジは結果として仲間たちを助ける。
それでも遠藤が金を持ち去った直後には、約束を守れるかを確かめなければならなかった。


遠藤はカイジと一緒に勝った。
その直後には、債権者としてカイジの取り分から高利を回収した。
二人が分かれたのは、勝負の目的だけではない。
カイジは残金から仲間を救おうとし、遠藤はまず自分への返済を確保した。
同じ金を前にして、何を先に守るかが違っていたのである。


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