平井和正と七月鏡一の関係|消えたアニメ企画から『Rebirth』へ

石森プロの8マンVSサイボーグ009対談に掲載された七月鏡一の写真 七月鏡一
七月鏡一/石森プロ掲載の8マンVSサイボーグ009制作対談。

七月鏡一さんは、平井和正さんの作品に強い影響を受け、本人の監修や確認を受けながら、続編や新作に関わった作家です。
『幻魔大戦Rebirth』の脚本へつながったのは、以前に平井さんの紹介で構成を担当したアニメ企画でした。
アニメは実現しませんでしたが、そのときの結末の案が、後の漫画で生きることになります。

石森プロの8マンVSサイボーグ009対談に掲載された七月鏡一の写真
七月鏡一/石森プロ掲載の「8マンVSサイボーグ009」制作対談。 出典

七月鏡一は平井和正の弟子なのか

七月さんは、石森プロの対談で、平井さんの弟子ではないと説明しています。
平井作品から大きな影響を受けて育った、というのが本人の説明です。
『ジーザス』の原作者や『ARMS』の原案協力として知られる七月さんには、平井作品の続きを作る仕事もありました。

『8マンインフィニティ』では、七月さんが原作、鷹氏隆之さんが漫画を担当しました。
七月さんは、平井さんの監修を受けながら作った作品だったと、制作対談の前半で振り返っています。

鷹氏隆之、七月鏡一、平井和正、桑田二郎の名前が記された8マンインフィニティ第1巻の表紙
『8マンインフィニティ』第1巻/原作・七月鏡一、漫画・鷹氏隆之、ROOTS・平井和正、桑田二郎、講談社。 出典

新しい主人公を作るとき、七月さんと平井さんは、8マンの何を引き継ぐのかを話し合いました。
そこで平井さんが改めて挙げたのは、他人のために自分を差し出す、自己犠牲の精神でした。
七月さんは、その考えを『インフィニティ』に取り入れたと語っています。

平井和正が早瀬マサトに紹介した七月鏡一

もう一つの接点が、『幻魔大戦』のアニメ化企画です。
2004年にNHKで放送された『火の鳥』に続く企画として、アニメ化の話が進んでいました。
早瀬マサトさんは、そのとき石森プロを訪れた平井さんから、七月さんを紹介されたと振り返っています。

石森プロの8マンVSサイボーグ009対談に掲載された早瀬マサトの写真
早瀬マサト/石森プロ掲載の「8マンVSサイボーグ009」制作対談。 出典

早瀬さんが知りたかったのは、1967年の漫画版『幻魔大戦』の続きでした。
月が地球へ迫ったところで終わった物語が、どうなる予定だったのか。
原作者に尋ねた早瀬さんに、平井さんは、昔の構想は覚えておらず、今後のことは七月さんに任せていると答えたそうです。
その言葉をそばで聞いた七月さんは、ありがたく嬉しい反面、大きなプレッシャーだったと語っています。

人事異動で消えたアニメ企画

平井さんの紹介を受け、七月さんはアニメのシリーズ構成案を作りました。
1967年版を21世紀の話に置き換え、月が落ちてくる展開の先まで描く案です。
七月さんによると、プロデューサーにも好評でしたが、人事異動で企画自体がなくなりました。

その後、早瀬さんが石森プロで新しい漫画の企画を立ち上げる際、改めて七月さんに声をかけました。
早瀬さんは、自分が読みたかった漫画版『幻魔大戦』の続きを、新作として描くことになりました。
七月さんが脚本、早瀬さんと石森プロが漫画を担当した『Rebirth』です。

ベガと東丈、少女、背後の月が描かれた幻魔大戦Rebirth第1巻の表紙
『幻魔大戦Rebirth』第1巻/原作・平井和正、石ノ森章太郎、脚本・七月鏡一、漫画・早瀬マサト、石森プロ、小学館。 出典

平井和正に確認してもらった最終回の案

七月さんには、アニメ企画の段階ですでに考えていた最終回の案がありました。
平井さんにも、その案を確認してもらっていたと、『Rebirth』完結後の対談で説明しています。
七月さんは、その結末を到達点として『Rebirth』の脚本を作りました。

結末を考えていても、そこまで連載が続くとは限りません。
七月さん自身も、途中で打ち切られる可能性に触れています。
終盤には、小学館から全10巻でまとめる提案がありましたが、七月さんと早瀬さんはもう1巻分が必要だと相談し、全11巻に増やしてもらいました。
最終回にも10ページが加わり、七月さんは余韻のある終わり方ができたと振り返っています。

複数の登場人物と脚本七月鏡一・漫画早瀬マサトの名前が載った幻魔大戦Rebirth第11巻の表紙
『幻魔大戦Rebirth』第11巻/原作・平井和正、石ノ森章太郎、脚本・七月鏡一、漫画・早瀬マサト、石森プロ、小学館。 出典

結末へ向かう間には、平井さんの作品を読み返し、昔の企画書を調べる仕事も続いていました。
七月さんが書いたシナリオは、早瀬さんとの相談を重ねながら漫画になっています。

まとめ

七月さんと平井さんの関係には、影響を受けた読者が、原作者と一緒に次の作品を考える立場になった歩みがあります。
『Rebirth』では、七月さんが平井さんに確認した結末と、早瀬さんが読みたかった旧作の続きが、一つの漫画へつながりました。
未完だった漫画版を知る読者にとって、全11巻で最後まで読めること自体が、この新作を手に取る楽しみの一つになります。

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