和月伸宏は新アニメ『るろうに剣心』をどう監修した? 2023年版の変更と制作現場

2023年新アニメ「るろうに剣心」のティザービジュアル 和月伸宏
TVアニメ『るろうに剣心』2023年放送告知ビジュアル。

2023年に始まった新しいテレビアニメ『るろうに剣心』で、原作者の和月伸宏さんは人物デザインとシナリオを監修しました。
脚本やデザインの打ち合わせに参加し、声優の選考にも意見を出しています。
原作を大きく変えずに、今の視点で気になる細部を直すことが、和月さんの監修の中心でした。

新アニメで、和月伸宏が守ろうとしたもの

新アニメは、1996年から放送された最初のテレビアニメの続きを作る企画ではありません。
原作の冒頭から、新しいスタッフと声優で作り直したシリーズです。
製作元のアニプレックスは、和月さんが人物デザインやシナリオを全編にわたって監修すると発表しました。

和月さんは2023年の本人と黒碕薫さんの対談で、最初の原作やアニメを好きだった人たちを大切にしたいと話しています。
企画を聞いた和月さんは驚いたそうです。
実写映画などを経て、『るろうに剣心』の映像化は一段落したと思っていました。
そこで新アニメには、昔からのファンが知る剣心を守りながら、今の若い人が出会える作品にする道を選びました。
新しい映像技術を使っても、剣心たちの人物デザインを最初から作り直したり、原作を大きく変えたりする考えではありませんでした。
当時すでに旧本編が完結していたため、物語全体を見渡しながらアニメを作れることも、和月さんが挙げた利点です。

2023年版テレビアニメの緋村剣心
2023年の和月伸宏・黒碕薫の対談に掲載されたTVアニメ『るろうに剣心』のPV場面。

絵柄はどこまで変えたのか

和月さんが人物デザインで求めたのは、原作に沿いながら、1990年代らしい描き方を少し薄めることでした。
対談の後半では、顔の描き方に加えて、当時の漫画に見られた大きな胸筋を少し抑える調整も挙げています。
しかし、今風に寄せすぎても『るろうに剣心』から離れてしまいます。
和月さんによれば、その加減は何度も調整しました。

雷十太編では、話の大筋を残して細部を直した

原作を大切にする方針は、描き直しを一切しないという意味ではありません。
和月さんは昔の原作を読み返すと気になるところもあると話し、石動雷十太のエピソードを具体例に挙げました。
雷十太編では話の大筋を変えず、細かな表現を調整したと説明しています。

2023年版テレビアニメ第15話の石動雷十太
TVアニメ『るろうに剣心』公式サイト・第15話の場面写真。

雷十太編の一部の回では、和月さんの近作でストーリー協力をする黒碕薫さんが脚本を担当しました。
黒碕さんによれば、戦闘場面の脚本には和月さんから意見がありました。
さらにシリーズ構成の倉田英之さんや監督の山本秀世さんからも提案が届き、話し合いながら仕上げています。
雷十太編の細部を和月さんが一人で書き換えた、という制作方法ではありません。

脚本・配役・アフレコには、どこまで関わった?

和月さんは遠隔で打ち合わせに参加し、シナリオや人物デザインを確認したと同じ対談の続きで話しています。
アフレコにも参加しましたが、仕事の都合で毎回参加できたわけではありません。
黒碕さんは毎回参加していた、と和月さんは説明しています。

声優の選考では、剣心など主な人物のオーディション音声を聞き、和月さんたちの意見を制作側へ伝えました。
剣心役の斉藤壮馬さんが最もしっくりきた、と和月さんは振り返っています。
最終的に誰を選ぶかは制作側が決めたとも述べており、配役を原作者だけで決定したわけではありません。

別の例として、左之助の赤報隊時代の回想には、倉田さんが考えた別の人物からの視点が加わりました。
黒碕さんは、その部分が印象に残っていると話しています。
新アニメの調整には、原作者の意見と、脚本・演出を担う人たちの提案の両方が入っています。

2023年版テレビアニメ第18話に登場する左之助の錦絵
TVアニメ『るろうに剣心』公式サイト・第18話の場面写真。

第二期『京都動乱』でも原作者の名前がある

2024年に始まった第二期『京都動乱』の公式スタッフ一覧には、和月さんが「脚本監修」として記されています。
ただし、2023年の対談で詳しく語られた打ち合わせや配役の経緯は第一期の制作についての話です。
第二期の各話でも全く同じ方法で関わった、とまではこの対談からは分かりません。

まとめ

新アニメでの和月さんの監修は、昔の原作をそのまま映すだけでも、剣心を別の人物へ作り直すことでもありませんでした。
昔からの読者が知る剣心たちを大切にしながら、雷十太編のように細部を見直し、制作スタッフと相談して形にしています。
原作者が方向を示す一方で、脚本家や監督も場面を提案し、配役の最終判断は制作側が担いました。
新アニメの「原作者監修」は、和月さんが全てを決めることではなく、剣心たちの軸を確かめながら制作陣と新しい版を作る仕事だったのです。

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