七月鏡一さんは、主人公を作るとき、強さだけでなく、読者の心をつかむことを大切にしています。
2022年のキャラクター創造講座に寄せたコメントでも、主人公と、その周りに置く人物の重要さを語っています。
『幻魔大戦Rebirth』の制作では、強力な人物を出すタイミングを相談し、敵も単純な悪役にしないように描いていました。
主人公の強さに加えて、読者の心を動かす
七月さんは、『ジーザス』『闇のイージス』の原作や、『ARMS』の原案協力を手がけた作家です。
原作賞から始まった七月さんの経歴には、藤原芳秀さんや皆川亮二さんと作ってきたアクション漫画が並びます。

MANZEMIの2022年の講座案内で、七月さんが強調したのは、主人公が強いという設定だけでは足りないということでした。
読者の心をつかめるかどうかが大切であり、脇に置く人物にも意味があると説明しています。

公開案内では、企画、主人公、脇役の作り方を学び、受講生の課題を講評する全4回の内容が紹介されています。
主人公に持たせる矛盾や、物語と人物の関係も、扱う予定の話題に入っていました。
強い人物でも、出すタイミングは相談する
人物の力と物語での役割を考える仕事は、『幻魔大戦Rebirth』の制作対談にも出てきます。
同作では、七月さんが脚本、早瀬マサトさんが漫画を担当しました。

石森プロの二人の対談によると、七月さんのシナリオでは、さるとびエッちゃんはもっと早く登場する予定でした。
早瀬さんは、エッちゃんが何でもできるほど優れた超能力者で、ギャグ漫画の人物でもあることから、その時点で登場させるのは早いと提案しています。
その場面では、ジンとルーフが登場する形になりました。
七月さんも、エッちゃんを出す時期を議論したと振り返っています。
強力な人物を用意したあとにも、その人物をどこで登場させるかという選択がありました。
早瀬さんが提案し、七月さんと相談して決めた変更です。
ダミアンは、単純な敵として作らなかった
同じ対談で、七月さんはダミアンの人物造形も説明しています。
石ノ森章太郎さんが作ったギルガメッシュに魅力を感じ、ダミアンに起用したと話しています。
七月さんが考えていたのは、単純な敵にせず、複雑な面を持つ人物として描き、最終的には共に戦う関係へ進めることでした。

七月さんは、ダミアンの前世であるギルも登場させたことで、人物をいろいろな角度から描けたと振り返っています。
まとめ
七月さんの人物作りを知るには、どれほど強い人物を登場させるかに加え、その人物が物語に入って何をするかにも目を向けたいところです。
エッちゃんの登場時期を変える相談も、ダミアンを共闘へ進ませる構想も、その人物をどんな役割で登場させるかに関わっています。
登場人物の強さを比べる楽しみに、その人物を物語の中へ置く作り手の判断を知る楽しみが加わります。

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