『ターちゃん』から『狂四郎2030』へ、大きく変わったのは、主人公が暮らす世界です。
動物たちと暮らすジャングルから、男女の暮らしまで管理される戦後の日本へ。
徳弘正也さんは、笑いを交えながら、恋人を救うために旅立つ狂四郎を描いていきます。
ジャングルから、戦後の管理社会へ
徳弘さんは、1988年に『週刊少年ジャンプ』で『ジャングルの王者ターちゃん』を始め、後に『新ジャングルの王者ターちゃん』へと物語を続けました。
1997年には、『スーパージャンプ』で『狂四郎2030』の連載を始めています。
『ターちゃん』は、チンパンジーに育てられた主人公が、ジャングルの平和を守る物語です。
妻のヂェーンと暮らし、密猟者や暗殺者たちとも戦います。
『狂四郎2030』の舞台は、核戦争で人類の大半が失われた後の日本。
主人公の狂四郎は、空を警護するヘリ巡査として登場し、科学者の脳を移植された犬、バベンスキーと出会います。
恋人と暮らすことまで管理される世界
ターちゃんとヂェーンは、物語の初めから一緒に暮らす夫婦です。
『狂四郎2030』では、恋人と同じ場所で暮らすことさえ自由ではありません。
国が厳しい男女隔離政策を敷き、人々には仮想世界の装置が与えられています。
狂四郎が心を通わせる相手は、仮想世界の恋人、志乃です。
二人はその世界で、ささやかな結婚式を挙げます。

やがて狂四郎は、志乃が実在するユリカという女性だと知ります。
彼女に危険が迫っていると感じた狂四郎は、バベンスキーと北海道へ救出に向かいます。

笑いを残し、ハードな物語を近未来へ広げる
舞台が変わっても、徳弘さんの下ネタやギャグは『狂四郎2030』にも続いています。
『ターちゃん』でも、格闘の展開とギャグは同じ作品の中にありました。
徳弘作品のギャグとシリアスの組み合わせを知ると、二作に残る共通点も見えてきます。
狂四郎は、志乃を救うために、国家に管理された日本を旅していきます。
狂四郎が志乃を思う気持ちと、その行動を阻む社会の厳しさが、近未来SFの物語を動かしていくのです。
まとめ
『ターちゃん』のハードな面を近未来SFへ広げた作品として、『狂四郎2030』を読むこともできます。
徳弘さんが、笑いを交えながら、管理社会の中でも志乃を思って進む狂四郎を描くところに、二作をたどる面白さがあります。



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