椎名高志は、自分にも分かる感情を手がかりに、漫画の登場人物を作ります。
良いところだけでなく、弱さや愚かさも人物に持たせることで、その人が本当にいるような実感を描こうとしているのです。
横島の欲求を、自分にも分かる感情から考える
椎名は2024年のグラニフ取材で、自分の中にある良い部分も悪い部分も、人物作りの手がかりにすると語りました。
横島忠夫が女性好きだからといって、その属性だけで台詞を決めないようにしているといいます。

椎名が挙げたのは、女の子にもてたい気持ちの背景に、劣等感や、人に認めてもらいたい思いがあるという例でした。
どんな性格かを決めるだけでなく、なぜそうした欲求を持つのかまで、自分の感情から考えるのです。
横島の行動を描くときも、そうした内面を持った人物として動かそうとしていました。

横島の能力を強くする展開でも、椎名はその根本の人物像を保とうとしたと説明しました。
強さが変わっても、欲求や弱さを持つ横島として描く方針でした。
人物の反応から、ネームを描き直す
人物の内面を考える仕事は、話を作る途中にも続きます。
椎名はコマ割りや台詞を決めるネームの段階で、予定した流れが型通りでつまらないと感じると、その人物ならどう反応するかを考え直すそうです。
取材では、泣くと予想していた人物が笑う、といった例を挙げています。
椎名は、その反応の方が人物らしいと感じたら、話も組み直します。

この方法で、打ち合わせの予定から変わる話もありました。
椎名は、人物の意外な反応を自分も楽しみながら『GS美神』を描いていたと振り返っています。
『絶チル』には、自分の不器用さへの肯定も込めた
椎名は2013年の本人ブログで、『絶対可憐チルドレン』に込めた思いも説明しています。
身近な子供を伸ばし、守ることを大切にし、そこに自分自身の不器用さへの肯定も込めたと書きました。
自分が実感していることを作品へ持ち込む姿勢は、人物の台詞だけでなく、何を描きたいかという説明にも表れています。

まとめ
グラニフの対談相手・石川祐は、横島や美神が悔しがる姿に、現実らしさを感じていたと話しています。
石川の感想にも、笑いの場面にある悔しさを、自分にも分かる感情として読む楽しさが表れています。
自分にも分かる感情から人物を作り、その人物の反応を考えながら話を描き直す。
椎名のキャラクター作りには、登場人物を考える仕事と、物語を作る仕事がつながっています。
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