藤田和日郎さんが『からくりサーカス』のアニメ化を喜んだ理由の一つは、『うしおととら』を担当したスタジオヴォルンが制作することでした。
前の仕事で細かなことまで確認してくれ、丁寧に作ってくれたと、藤田さん自身が話しています。
その信頼の前には、原作の絵や人物をアニメでどう見せるか、スタッフと話し合った経験がありました。
『うしおととら』の西村聡監督は、藤田さんから人物の体つきや、とらの髪の描き方にも助言を受けたと説明しています。
原作者とスタッフの仕事は、物語を短くまとめる相談だけにはとどまっていませんでした。
とらの髪の描き方まで、原作者と話す
『うしおととら』のテレビアニメは、2015年から2016年に全39話が放送されました。
藤田さんもシリーズ構成に参加し、長編を決められた回数へまとめるために、エピソードを選びました。

2015年の西村聡監督への取材では、絵についての共同作業も語られています。
中村麻子のプロポーションや、とらの髪の描き方について、藤田さんの指導を受けたというのです。
とらの髪は、顔の周りから大きく広がる、特徴のある形をしています。
西村監督は、原作の絵を描いた本人からも、人物の描き方を教わっていたのです。
藤田さんは、長く描いてきた人物の見せ方も、アニメを作る人たちへ伝えていました。

西村監督が力を入れていたのは、藤田さんの絵が持つ、人を圧倒するような力の再現でした。
西村監督は、物語とともに、原作を読んだ時の絵の迫力もアニメで届けようとしていました。
時代の小道具を変えても、物語の勢いを大切にした
西村監督は、『うしおととら』を「ストレートな成長もの」と捉えていました。
原作を大きく変える必要はなく、多くの読者が持つ作品のイメージを大切にしたいと考えていたのです。
一方で、2015年の視聴者へ届けるため、携帯電話を登場させ、テレビを薄型にするなど、小道具を現代風にする工夫も説明しています。
原作の勢いや雰囲気を生かしながら、初めて見る人も入りやすくする方針でした。
全39話では、原作のエピソードをすべて描くことはできませんでした。
それでも藤田さんは、後の2018年の寄稿で、本筋の面白さが実現していたことに、とても満足していると話しています。
省かれた話があることと、アニメを楽しめたことは、作者の中で両立していました。

次の『からくりサーカス』でも、一緒に作りたい相手になった
2018年に『からくりサーカス』のアニメ化が決まると、藤田さんは前作の制作を担当したヴォルンへの信頼を語ります。
制作側が細かく質問してくれることと、仕事ぶりの丁寧さを、同じスタジオが担当すると聞いてうれしかった理由に挙げていました。

『からくりサーカス』でも藤田さんはシリーズ構成に加わりました。
前作で得た信頼を土台に、今度は全36話で別の長編を届ける仕事へ進んだのです。
どの話を残し、物語の最後までどうたどり着くかという判断については、アニメ構成へ参加した理由の記事で紹介しています。
まとめ
西村監督は、藤田さんの漫画の力を正面からアニメにしたいと考え、描き方についても本人に教わっていました。
藤田さんは、その丁寧な仕事と、完成した『うしおととら』の本筋の面白さを評価しています。
原作者に細かなことまで確かめ、作品の魅力を映像で届けようとするスタッフがいました。
藤田さんが次のアニメ化を楽しみにしていた言葉には、そうした仕事を任せられる相手への信頼も表れていました。


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