木城ゆきとは『アリータ』をどう見た?原作者が好きな目覚めと食事の場面

映画アリータで両手のひらを見つめる場面 木城ゆきと
映画『アリータ:バトル・エンジェル』(2019年)の場面写真/20世紀スタジオ。

『銃夢』の作者・木城ゆきとさんは、2019年公開の映画『アリータ:バトル・エンジェル』を、映画ファンとしても高く評価しています。
とくに好きだと語ったのは、アリータが目覚め、イドと言葉を交わし、オレンジを食べようとする場面でした。
木城さんは、原作との違いの中にも、映画の描き方ならではの楽しさを見つけていました。

映画アリータで両手のひらを見つめる場面
映画『アリータ:バトル・エンジェル』(2019年)の場面写真/20世紀スタジオ。 出典

原作者が見どころに挙げた、静かな導入

木城さんは2019年の本人インタビューで、アリータがおそるおそる周りを見る導入が好きだと話しました。
イドとの会話や、食べ物に触れる動作を、映画は順番に描いていきます。
木城さんは、その丁寧さが観客を物語に引き込むと評価しています。

サイボーグの少女が強い相手と戦う映画でも、原作者がわざわざ見どころとして挙げたのは、戦闘が始まる前の時間でした。
モーターボールのアクションも素晴らしいと認めたうえで、クライマックスへ向かう場面は、自分が説明しなくても見どころと分かるだろうと応じています。
激しいアクションを認めながら、静かな場面にも目を向ける感想です。

漫画では省くことの多い日常が、映画では楽しみになる

木城さんは、自分の漫画では日常の場面をカットすることが多いと説明しました。
細かい動作まで描けば、コマが増えてしまうためです。
そのため、映画には自分が漫画で描いていない部分も多いといいます。

映画アリータのポスターを背に話す木城ゆきとさん
木城ゆきとさん/2019年の本人インタビュー掲載写真、GIGAZINE。 出典

木城さんは、そうした静かな場面にも映画の力がこもっていて良い、と語っています。
漫画で日常を省くことの多い作者が、映画では、その日常の丁寧さに引かれていたのです。

明るいクズ鉄町には「住んでみたい」と感じた

木城さんが映画で気に入ったものは、人物の動作だけではありません。
別の2019年の本人インタビューでは、映画の明るいクズ鉄町にも触れています。
ロバート・ロドリゲス監督らしい雰囲気がよく、自分も住んでみたいと語りました。

映画アリータの街並みと高架の通路
映画『アリータ』の街並み/2019年、GIGAZINE掲載。 出典

人物の心まで受け継がれた、という原作者の評価

木城さんは、2019年の映画公開に向けて寄せたコメントで、漫画の核心が映画に継承されていたと話しています。
見た目に加え、人物の心の動きや存在理由も反映されていて、うれしかったと説明しました。

映画アリータで相手を見つめて話すアリータ
映画『アリータ:バトル・エンジェル』(2019年)の場面写真/20世紀スタジオ。 出典

木城さんは、映画化にあたり、原作を変更しても構わないと制作陣へ伝えていた作者です。
完成映画への感想にも、日常や街の描き方の違いを楽しむ姿と、人物の内面が受け継がれたことを喜ぶ姿の両方があります。

木城さん自身も、映画のためにアリータを描き下ろしています。
剣を手にした少女の背後には、ザレムと街並みが広がっています。

左に木城ゆきとのアリータ描き下ろし、右に映画ビジュアル
左:木城ゆきとさんの映画向け描き下ろし。右:映画ビジュアル/2019年公開。 出典

まとめ

目覚めた少女が周囲を確かめ、食べ物を味わう。
そうした小さな反応からも、機械の身体で生きる少女の気持ちが伝わります。
木城さんが気に入った静かな導入は、観客がアリータを身近な人物として感じるための時間でもあるのです。

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