『幽遊白書』酎に勝った幽助は、なぜ観客の罵声に怒ったのか

文句があるなら相手になると観客に言い放つ幽助と、オレらだと付け加える桑原 幽☆遊☆白書
冨樫義博『幽☆遊☆白書』7巻/集英社

酎との殴り合いを制した幽助は、また戦おうと鈴駒に伝言を頼む。
その直後、六遊怪チームを罵る観客には、怒声を浴びせる。
さっきまで殴っていた相手を、今度はかばう。
幽助にとって酎は、勝負の中で認め合えた相手になっていた。
自分と本気で戦った男を、遠くから見ていた者たちが罵るのが許せなかったのだ。

手の内を明かし合う二人

酎は幽助との対戦で、自分が補欠だったのはジャンケンに負けたからだと話し、酔拳を使うことも明かす。
相手の油断につけ込むより、自分の強さを承知した相手と戦いたい。
幽助も、酎の強さを楽しむ。
殴り飛ばされて戻ってきたあと、戦うのが楽しいと酎に話し、酎も同意する。

続いて幽助は、霊丸を実演してみせる。
この時の上限は一日四発で、今ので残りは三発。
切り札の威力ばかりか、使える回数まで教えてしまう。
酎はその正直さを笑い、幽助を気に入ったと口にする。

二人は、勝負の途中から互いに好感を持っている。
殴られても、切り札を繰り出されても、相手との勝負が楽しい。
幽助が酎を認める理由は、その強さと、自分と同じように本気の勝負を楽しむ気持ちにある。

倒した相手に、次の勝負を望む

かかとの後ろにナイフを刺し、向かい合う幽助と酎
冨樫義博『幽☆遊☆白書』7巻/集英社

互いに霊力と妖力を使い果たすと、酎はナイフエッジ・デスマッチを提案する。
かかとの後ろに刺したナイフを境界にして、後ろへ逃げずに殴り合う勝負だ。
幽助はこれを受け、二人は素手で決着をつけようとする。
ここまで戦っても、相手と白黒をつけたい気持ちは変わらない。

同じ切り札の頭突きをぶつけ合う幽助と酎
冨樫義博『幽☆遊☆白書』7巻/集英社

最後には、二人が切り札にしていた頭突きまでぶつかり合う。
倒れたのは酎だった。
幽助は、切り札まで同じだったことを口にする。
そして、気絶した酎を介抱する鈴駒に、伝言を頼む。

「目ェ覚ましたら言っとけや またやろうぜってな」

決着がついたばかりで、幽助はもう次の勝負を望んでいる。
ここには、酎の強さを認め、一緒に戦うことを楽しめた親しみが表れている。

負けた相手を罵る者たちには、腹が立つ

観客席から起こるのは、敗れた六遊怪チームを殺せという声だ。
対象は、生き残っている酎と鈴駒。
実際に殴り合った幽助が再戦を望んだ直後に、戦っていない観客が相手の死を求める。

文句があるなら相手になると観客に言い放つ幽助と、オレらだと付け加える桑原
冨樫義博『幽☆遊☆白書』7巻/集英社

幽助は観客を一喝し、文句があるなら自分が相手になると言い放つ。
桑原も「オレらだ オレら」と付け加える。
相手を罵るなら、今度は自分たちが相手をする。
勝った側の浦飯チームが、負けた六遊怪チームに向けられた罵声を止めるのである。

酎の攻撃を受け、全力で戦い抜いた幽助は、その強さを知っている。
また戦いたいと思える相手が、敗れた途端に観客から殺せと罵られている。
幽助が怒ったのは、そこで自分の認めた相手を侮辱されたからだ。
再戦を望む言葉と、観客への怒声には、どちらも本気で戦い合った酎への親しみが表れている。

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