仙水の計画が終わったあと、仲間たちの行き先はそろわない。
天沼は同級生と話すようになり、御手洗は人を助ける活動へ進む。
一方、神谷は脱獄して姿を変え、刃霧は学校へ戻ったのち失踪する。
同じ計画に加わった四人が、なぜ同じ結末を迎えなかったのか。
四人は仙水に協力していても、同じ事情で集まり、同じ気持ちで戦い続けていたわけではない。
計画が終わった時点で、すでに仙水から離れた者も、利用されたと知った者もいた。
第153話「それぞれの明日!!」は、勝敗だけでは決まらない彼らのその先を描いている。
御手洗は、仙水が負ける前に立場を変えていた
御手洗は「黒の章」で人間の残酷さを知り、人間を滅ぼす側に加わった。
だが、御手洗を倒した桑原は、傷ついた彼を置き去りにしない。
仙水の襲撃時には、ぼたんも御手洗をかばった。
敵だった自分を助ける人間に出会い、御手洗は仙水の計画から離れて、桑原を救うために幽助たちを案内する。
つまり御手洗の変化は、仙水が敗れた後に始まったものではない。
人間を一括りに憎む考えが揺らいだのは、仙水と戦っている最中だった。
事件後、御手洗は志望校に合格し、後には環境問題や国際ボランティアに取り組む。
以前は人間そのものを否定していた少年が、今度は人のいる世界で何をするかを選んでいる。

御手洗がなぜ考えを変えられたかは、桑原たちとの出会いを追った記事でも詳しく扱っている。
天沼は、命を懸けると知らずに協力していた
仙水は天沼の親や教師、同級生への不満を言い当て、つまらない世の中を変えようと誘った。
天沼はゲームの力を買われ、幽助たちの足止めを任された。
しかし、ゲームに負ければ自分が死ぬことを仙水から知らされていない。
蔵馬に敗れて一度命を落とし、コエンマに生き返らせてもらう。
仙水の計画は天沼にとって、最後まで事情を分かったうえで選んだ道ではなかった。

事件後、天沼はゲームセンターで、避けていた同級生と顔を合わせる。
帰り道に同級生たちの親への不満を聞き、自分だけが特別につらいわけではないと気づく。
その気づきは、避けていた同級生たちと話すきっかけになった。
天沼が学校生活へ戻れた理由は、仙水の敗北だけでは説明できない。

御手洗と天沼はともに学校生活へ戻る。
ただ、御手洗は自分を助けた相手との経験から人間観を変え、天沼は同級生との会話から自分の孤独を見直す。
同じ「日常に戻る」結末でも、そこへ至った理由は違う。
神谷と刃霧を、単純な改心で片づけられない
神谷と刃霧は、仙水が倒されたことを魔界で見届けていない。
戦いの後、神谷は飛影が刃霧につけた傷を見て、仙水がどれほど強くても自分たちは勝てないと感じたことを話す。
刃霧はそれを聞き、戦いはそれなりに楽しめたと答える。
この二人の会話には、御手洗が口にしたような自分の過ちへの反省はない。

神谷はその後、脱獄して自分の顔を変え、能力を「心霊手術」と称して「奇跡の手道場」を開く。
病院で人を病気にした「医師」の力を、今度は「心霊手術」として使うが、逃亡した事実も残る。
道場を開いたことだけで、病院での行為を悔いて改心したとは言えない。
刃霧も、事件の直後は学校へ戻る。
だが、虐待されて死んだ猫を見つけると、犯人の同級生たちを「狩り」に行くと告げる。
高校卒業後には姿を消す一方、母への仕送りは約五年間続いた。
刃霧は仙水の計画を再開しなかったが、学校へ戻ったからといって穏やかな生活に収まったわけでもない。
同級生に実際に何をしたか、失踪後どこで何をしていたかは描かれていない。

仙水の敗北で止まったのは、魔界への穴を開ける計画だ。
御手洗、天沼、神谷、刃霧の暮らしまで、そこで一度に解決したわけではない。
日常を取り戻した者も、別の形で力を使い続ける者もいる。
同じ「仙水の仲間」という呼び名の下にいた四人に、それぞれ別の明日が残されたことこそ、この後日談の面白さだ。


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