赤木しげるの通夜で、鷲尾は金光の方針に反発する。
金光の方針は、赤木本人が決めたこととして、その意思を尊重するというものだ。
鷲尾も、それが一見筋の通った考えだとは認めている。
だが、友人が死のうとしている時に、鷲尾はその理屈だけで見送ることができない。

鷲尾は、自分の意思も退けられない
鷲尾は、赤木の意思より自分の意思を尊重し、殴りつけてでも止めたいと語る。
この言葉は、赤木との面会でのやり取りではなく、金光に向けたものだ。
鷲尾がここで伝えているのは、赤木の考えを間違いだと証明する理論ではない。
赤木に生きていてほしいという、鷲尾自身の願いである。
赤木が納得しているからといって、友人の鷲尾まで納得できるとは限らない。
鷲尾にとって、赤木の死は本人だけの問題では済まないのだ。
赤木の意思を尊重するという説明では、自分がその友を失いたくない気持ちを置き去りにしてしまう。
だから鷲尾は、鷲尾自身の意思をはっきり口にする。
金光も、引き返す道は閉ざしていない
一方の金光も、赤木が一度決めた以上は死ぬしかないと考えているわけではない。
金光は赤木に、他の仲間の説得でやめようと思ったら、恥ずかしがらずに引き返してほしいと頼んでいる。
金光が尊重しようとする意思には、赤木がこの後に気持ちを変える可能性も含まれる。
その約束のやり取りは、赤木が生前葬を開いた理由でも詳しく読んでいる。

金光は、赤木が決意を変えた時に、意地に縛られず引き返せるようにする。
鷲尾は、赤木の決意を聞いたうえで、自分には見送れないと意思を示す。
二人の違いは、友人を思う気持ちがあるかないかではない。
赤木の選択をどこまで受け入れるか、そして、自分の願いをどう伝えるかの違いなのである。


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