鷲尾が切った中は、尾神の国士無双の和了牌だった。
それでも尾神は動かない。
役満を和了できる場面で、尾神が選んだのは見逃しだった。
尾神は、天の決勝進出を阻むために西軍が送り込んだ打ち手である。
尾神の見逃しを理解するには、何点取れるかだけでなく、誰から取るのかを見る必要がある。
鷲尾も東軍だが、尾神の標的は天だった
この半荘を打っているのは、天・鷲尾・南郷・尾神の四人である。
天と鷲尾は東軍、南郷と尾神は西軍に属する。

尾神に課された仕事は、天を倒すことだった。
鷲尾から大きく加点できる機会が来ても、尾神はその仕事を優先する。
同じ東軍の打ち手であっても、尾神にとって天と鷲尾は同じ標的ではなかった。
次の局では、天の一萬を捉える
次の局では、尾神の捨て牌を天がチーし、天は一萬を切る。
尾神は、その一萬を待っていた。
鷲尾の中を見逃した尾神が、今度は天からロンする。

二つの局を並べると、尾神の見逃しが何を優先したものだったか分かる。
尾神は鷲尾からの和了を見送り、次の局では天から点を奪った。
鷲尾への国士無双を取らなかったことと、天の一萬を捉えたことは、同じ標的を追う行動としてつながる。
鷲尾の中には動かず、天の一萬には応じる。
和了できる牌でも、誰が切ったかによって尾神の判断は変わる。
大きな得点の機会があっても標的から目を離さない尾神の打ち方は、天にとって厄介なものだった。


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