『天』ひろゆきは鷲尾をどうだましたのか――援護に見せた最後のロン牌送り

三人の格が自分より上だと考え、奇襲を決めるひろゆき 天 天和通りの快男児
『天 天和通りの快男児』福本伸行、第7巻。

予選最後の一枠を争うひろゆきは、鷲尾に点を渡し続ける。
鷲尾とひろゆきは、どちらも東軍の打ち手だ。
しかし、一位が勝ち抜くこの半荘では、二人とも決勝へ進めるわけではない。
ひろゆきが鷲尾を助ければ助けるほど、自分の勝ち抜きは遠ざかって見える。

最後の局で、ひろゆきは鷲尾へ北を送る。
鷲尾がその北を切ると、ひろゆきがロンする。
ひろゆきは、味方への援護をどうやって自分の勝ちにつなげたのか。

鷲尾への援護は、実際に点を渡すところから始まる

対局前、ひろゆきは鷲尾・南郷・尾神の三人を見て、格は自分より上だと考える。
ひろゆきが選んだのは、奇襲だった。
他の打ち手がなりふり構わず勝ちに向かう姿を振り返り、自分も手段を選ばず勝とうと決める。

三人の格が自分より上だと考え、奇襲を決めるひろゆき
『天 天和通りの快男児』福本伸行、第7巻。

東一局、ひろゆきはテンパイしているのに、手を崩して五筒を切る。
鷲尾は、その五筒で親満を和了する。
ひろゆきは自分の和了を目指す形から離れ、鷲尾へ一万二千点を渡したのだ。

テンパイを崩して五筒を切るひろゆきと、違和感を覚える南郷
『天 天和通りの快男児』福本伸行、第7巻。
ひろゆきの五筒をロンし、親満を和了する鷲尾
『天 天和通りの快男児』福本伸行、第7巻。

その後もひろゆきは鷲尾を援護する。
序盤の差し込みで、鷲尾の持ち点は四万五千点まで増え、ひろゆきは五千点まで減る。
ひろゆきの援護は、自分の点を失って鷲尾の点を増やす、実際の協力だった。
最後に鷲尾が受け取る援護には、それまで何度も助けられた経験が重なっている。

ひろゆきの少ない点棒は、南郷の和了も縛る

ひろゆきの点が減ると、西軍の南郷にも制約が生まれる。
南郷は跳満をツモっても、その和了を見送る。
ひろゆきの点が尽きて半荘が終われば、トップの鷲尾が勝ち抜いてしまうからだ。
南郷にとっては、得点できる手を和了することと、自分が一位で勝ち抜くことが、この場では一致しない。

最後の北だけが、鷲尾を助ける牌ではなかった

オーラス、鷲尾が引いたのはドラの四索だった。
南郷はリーチしており、鷲尾にとって切りたくない牌である。
ここで、ひろゆきが卓の下から北を差し出す。

鷲尾へ渡す北を卓の下で持つひろゆき
『天 天和通りの快男児』福本伸行、第7巻。

鷲尾は四索をひろゆきの北と交換し、その北を切る。
それまで自分を助けてきたひろゆきが、今度も危険な牌を引き受けてくれる。
鷲尾はそう受け取り、北を捨てた。
だが、北はひろゆき自身の和了牌だった。

北を送り込むひろゆきの最後の手
『天 天和通りの快男児』福本伸行、第7巻。

ひろゆきは鷲尾から親跳満を和了し、最後の一枠を手にする。
鷲尾が困っていた四索を引き受ける行動と、鷲尾からロンするために北を送る行動は、同じ交換だった。
鷲尾が助けてもらったと思った瞬間、その援護が鷲尾を負かす仕掛けになる。

自分より格が上だと思う三人を前に、ひろゆきは奇襲を選んだ。
ひろゆきは自分の点を渡す援護を重ね、その続きを装って、最後に自分の和了牌を鷲尾へ渡した。
鷲尾が頼りにした味方との協力を、ひろゆきが自分の勝ち抜きに使ったところに、この逆転の怖さがある。

この記事もおすすめ

コメント

アクセス解析について
タイトルとURLをコピーしました