冨樫義博さんと『NARUTO』の岸本斉史さんの対談は、MediBang Paintの公式サイトで無料公開されています。
初出は『ジャンプGIGA 2016 vol.2』で、読者から寄せられた創作の質問に二人が答える企画です。
キャラクターの性格、読者に動きが伝わる絵、経験に支えられた「勘」まで、二人の作り方を具体的なやり取りから知ることができます。

公式サイトで三回に分けて読める
対談は、公式の再公開ページの第1回、第2回、第3回へ順に進めます。
キャラクターや能力の話から、作画、世界観、ネームなどへ話題が広がります。
以下では、二人の考え方がよく伝わる質問を取り上げます。
キャラクターは、どんなときに怒るのか
冨樫さんは、性格を「明るい」「暗い」といった言葉だけで決めないと話します。
たとえば短気な人物なら、何を言われたときに怒るのかまで考える。
具体的な場面でどう行動するかを試しておくと、漫画を描くときに人物を動かしやすくなるという説明です。
岸本さんは、太っていると言われると怒る丁次を、自作の例として挙げています。
さらに岸本さんは、人間味を出すために弱点から考えると話します。
具体的な反応を決める話から、その人らしい弱さを考える話へと、やり取りが広がります。
能力についても、人物とのつながりが話題になります。
岸本さんが例に出すのは、他人の能力を盗むクロロです。
冨樫さんは、物語での役割によって持たせる能力も変わると答えています。

漫画の絵は、何が伝わることが大事なのか
冨樫さんがデッサンの話でまず挙げるのは、人物が何をしているか、表情や姿勢から伝わることです。
岸本さんも、コマの構成まで含めて漫画のデッサンを考えています。
第3回では、岸本さんが冨樫さんの描くゴンの動きに注目します。
それに対して冨樫さんは、実際に可能な動きかどうかより、攻撃の力が伝わることを重視すると答えます。
描いた攻撃が痛そうに見えるか、攻撃を受ける人物にダメージを与えたように見えるか。
冨樫さんがここで話す基準は、読者が絵から受け取る感覚にあります。
岸本さんも、描きたい作品によって写実とデフォルメの方向を選ぶと話しています。
ゲームの面白さを、そのまま漫画にできるのか
世界観についての質問では、ゲームと漫画の楽しみ方の違いに話が進みます。
岸本さんは、ゲームでは自分が行動を選べるのに対し、漫画では登場人物の行動を読む、と説明しています。
複雑な世界の仕組みがあっても、その人物が何を望んでいるのかが伝わらなければ、読者はついていきにくいという考えです。
冨樫さんも、面白いゲームのシステムを漫画へ持ち込むなら、そこからどんな人間関係が生まれるかを考える必要があると話します。
ゲーム好きであることと、漫画として読ませることの間に、人物のドラマを作る仕事があるのです。
冨樫の「勘」は、何に支えられているのか
以前の会話で創作の方法を尋ねた岸本さんは、冨樫さんから「勘」と答えられたと振り返ります。
冨樫さん自身は、その土台にあるものとして読書量を挙げています。
多くの作品に触れることで、展開の選択肢や、人物を作る材料が増えるという説明です。
岸本さんは、好きな漫画や映画を何度も見直すと話しています。
冨樫さんも、好きな映画を繰り返し観ていると話します。
作品に触れる幅と、気に入った作品を見直す深さ。
対談では、どちらも創作を支える経験として語られています。
冨樫さんの人物と展開の決め方を、別の角度から知る話でもあります。
まとめ
短気という性格を、どんな言葉で怒るかまで具体化する冨樫さん。
そこへ岸本さんが丁次を挙げると、説明が実際の漫画につながります。
二人が互いの話を、自作や読者の立場から確かめていく。
一人のインタビューとは違う面白さは、このやり取りにあります。




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