アニメ『レベルE』は誰が作った?冨樫義博の原作と制作陣の仕事

ギターを持つアニメ レベルEの王子 冨樫義博
アニメ『レベルE』の王子。©ぴえろ・テレビ東京/集英社。2011年の加藤敏幸監督インタビュー掲載。

2011年のテレビアニメ『レベルE』は、冨樫義博さんの漫画を原作に、加藤敏幸さんが監督、花田十輝さんがシリーズ構成を担当した作品です。
アニメーション制作は、ぴえろとdavid productionが担当しています。
冨樫さんが描いた物語を、監督、美術スタッフ、声優たちがそれぞれの仕事を通じてアニメへと仕上げています。
その工夫は、章ごとに変わる雰囲気と、王子に振り回される人たちの声に表れています。

冨樫義博は原作、加藤敏幸は監督

テレビ東京の公式スタッフ一覧では、主な担当が次のように示されています。

役割 担当
原作 冨樫義博
監督 加藤敏幸
シリーズ構成 花田十輝
キャラクターデザイン・総作画監督 竹田逸子
アニメーション制作 ぴえろ×david production

原作は、王子を中心に、宇宙人と地球人の騒動を描くSF連作です。
章ごとに騒動を体験する人物が変わる構成も、この漫画の特徴です。
アニメでは、その異なる話を、絵の動き、色、声、音楽とともに見せています。

冨樫義博『レベルE』第1巻の表紙
原作漫画『レベルE』第1巻。冨樫義博/集英社。 出典

加藤監督がアニメ化の依頼を受けたのは、2009年の夏ごろでした。
以前にアニメ『HUNTER×HUNTER』の監督補を務めていたこともあり、冨樫作品との縁を感じて引き受けたと、2011年のインタビューで振り返っています。

話が変わるたび、アニメの雰囲気も変える

加藤監督にとって『レベルE』の魅力は、エピソードごとに雰囲気の違う作品を作れることでした。
最初の3話から第4話へ移ると印象が大きく変わり、第5話からは特撮の戦隊ものを思わせるカラーレンジャーの話が始まります。
同じシリーズでも、美術や色のスタッフは、話ごとに違う雰囲気を作らなければなりませんでした。
監督は、その点がうれしさと同時に制作の難しさでもあったと説明しています。

カラーレンジャーの主題歌の作詞も、加藤監督が担当しました。
王子ならどんな歌を作るかを考えながら、戦隊ものの楽しさをアニメへ加えていたのです。

ギターを持つアニメ レベルEの王子
アニメ『レベルE』の王子。©ぴえろ・テレビ東京/集英社。2011年の監督インタビュー掲載。 出典

加藤監督は、作品のイメージを大切にしながら、原作のよさをアニメで出したかったと語っています。
カラーレンジャーの歌は、王子の人物像を踏まえて監督が考えた、アニメ制作の具体的な工夫です。

王子とクラフトの掛け合いを、声優たちが作る

王子を演じるのは浪川大輔さん、クラフトを演じるのは子安武人さん、筒井雪隆を演じるのは細谷佳正さんです。
放送前の3人へのインタビューでは、同じ掛け合いを、それぞれが違う立場から作っていたことが分かります。

浪川さんは、つかみどころのない王子をどう演じるか、オーディションのときから試行錯誤していました。
演技の幅を出してほしいという注文も受け、クラフトや雪隆をいら立たせる王子を、楽しみながら演じています。
クラフト役の子安さんは、怒る場面で実際に力いっぱい声を出すことを重視しました。
王子に振り回されるクラフトの怒りを、声の勢いでも伝えようとしていたのです。

レベルEの台本を手にした出演声優陣の集合写真
アニメ『レベルE』の出演声優陣。2010年のインタビュー掲載写真。 出典

原作を高校時代に読んでいた細谷さんも、他の役者と掛け合うことで、雪隆の役を作っていきました。
まじめな説明でも、雪隆の口の悪さが出るように心がけたと話しています。
王子が挑発し、クラフトが怒り、雪隆が応じる。
台詞の内容に加えて、3人の声の出し方にも、登場人物の関係が表れています。

ルナ役の中川翔子も、演じ分けに苦労した

ルナを演じた中川翔子さんは、子どものころから冨樫作品を読んでいた原作ファンです。
当時の公式インタビューでは、アニメ化を聞いたときから、ルナの場面を演じる難しさを感じていたと話しています。

実際の収録で苦労したのは、盗賊として振る舞うルナと、おしとやかなルナの演じ分けでした。
二つの姿が同時に出る場面では、頭が混乱するほど難しく、おしとやかなほうが特に難しかったそうです。
原作が好きで人物を知っていても、その人物を声で演じるときには、別の工夫が必要になります。

中川翔子と、アニメで演じたルナの公式紹介写真
ルナ役の中川翔子と、アニメのルナ。2011年の公式インタビュー掲載。©ぴえろ・テレビ東京/集英社。 出典

まとめ

アニメ『レベルE』の原作は冨樫義博さんであり、アニメの制作には加藤監督をはじめ、多くのスタッフと声優が関わっています。
加藤監督は、制作陣と役者によって原作の力を引き出せたのではないか、と完成した作品を振り返りました。
章ごとに雰囲気を変える美術や色、王子とクラフトたちの掛け合いを作る声には、そのための具体的な仕事があります。
原作の騒動を知っている人も、クラフトの怒り方や雪隆の受け答えを聞くと、漫画をアニメにした人たちの工夫を楽しめます。

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