ひろゆきは、自分が敗退してでも赤木を残そうとした。
原田の罠にかかって赤木から和了り、裏ドラが乗れば赤木を飛ばしてしまう。
ひろゆきが考えたのは、山を崩して裏ドラを確認できなくすることだった。
自分が罰を受ける覚悟もあった。
赤木は、その行動を止める。
仲間を救うために自分を差し出すことが、なぜ責任を取ることにならないのか。
赤木の言葉は、ひろゆきがすでにしたことと、これから消そうとしたものを分けると分かりやすい。

赤木を救うロンが、赤木を危険にさらした
原田はドラをポンし、満貫を和了れば赤木を飛ばせる状況にいた。
赤木が四索を切ると、原田は手牌を倒そうとする。
ひろゆきは原田の和了を止めるため、自分が先に和了を取る頭ハネに出た。
味方の赤木から和了るのは、原田の満貫を避けるためだった。
だが、原田の動きは空モーションだった。
原田の和了牌はすでに赤木の槓で封じられており、原田は四索では和了れない。
原田はひろゆきの待ちを読み、赤木を救おうとするひろゆきにロンを言わせたのである。

ひろゆきの手はリーチ、タンヤオ、平和。
裏ドラが乗らなければ満貫に届かず、赤木は残れる。
ところが、裏ドラが乗れば、ひろゆきの和了が赤木を飛ばしてしまう。
赤木自身の槓によって裏ドラ表示牌は二枚に増えていた。
原田の罠を止めたつもりのロンが、別の形で赤木を危険にさらしていたのだ。
自分が退場しても、ロンの宣言は消えない
ひろゆきは、山を崩して裏ドラの確認を不可能にすれば赤木を守れると考える。
自分は反則で敗退するかもしれない。
それでも、赤木が消えるより東軍にはよいと判断した。
この時点では、裏ドラが乗るかどうかはまだ分かっていない。
一方、ひろゆきがロンを宣言し、手牌を倒したことは、すでに起きている。
裏ドラの確認は、その和了の点数を確かめる手続きだ。
山を崩す行為は、自分のロンがどんな結果になるか分からないようにする。

赤木が短く告げたのは「礼を逸したことはするなよ」という言葉だった。
ひろゆきは山を崩さず、二枚の裏ドラ表示牌をめくる。
裏ドラは乗らず、赤木は生き残った。
赤木の忠告に従ったひろゆきは、赤木が敗退する可能性も残したまま、自分が和了った手の点数を確認したのである。

赤木への礼と、勝負への礼
勝負の後、ひろゆきは赤木への無礼を心配する。
赤木を軽んじたから自分が代わりに退場しようとしたのではない、と弁解しようとするのだ。
ひろゆきはミスをした自分が退場すればよいと考え、赤木の忠告も、自分と赤木のどちらが残るかという問題として受け取っていた。

赤木の忠告は、赤木本人への態度についてではなかった。
赤木が問題にしたのは、卓の打ち手たちが積み重ねてきた勝負を壊すことだった。
原田が汚い空モーションを使ったことも、ひろゆきが自分の身を差し出すことも、宣言したロンの結果を確認しなくてよい理由にはならない。
赤木は、自分が罰を受ければどんな違反も許される、という考え方を退ける。
ひろゆきは、自分が退場すれば赤木を残せると考えていた。
赤木は、ひろゆきが罰を受ける覚悟よりも、和了の点数を確かめる前に勝負を壊そうとする行動を問題にした。
ひろゆきが代わりに退場しても、宣言したロンの点数を確かめたことにはならない。
赤木を残したいという願いから始まった自己犠牲の案には、赤木から和了った後の確認を止める、というもう一つの行為が含まれていた。
赤木がひろゆきに求めた責任の取り方は、その確認を最後まで済ませることだった。
ひろゆきに裏ドラをめくらせた赤木は、自分が助かるかどうかも、その和了の結果に委ねている。


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