田村由美が漫画家志望者に掲載誌選びをすすめる理由|描きたいものと雑誌の相性

月刊flowers2021年8月号、ミステリと言う勿れの整を描いた表紙 漫画家・作者
「月刊flowers」2021年8月号の表紙/小学館。2021年の対談に掲載。

田村由美さんは、漫画家志望者に、どの雑誌へ持ち込むかをよく考えてほしいと伝えています。
雑誌によって、求められる主人公や物語の種類が違うためです。
自分が読み、好きになってきた雑誌なら、読者と感覚が近いのではないかとも話しています。
新人時代の田村さんは、大好きな雑誌が求めるものと、自分が描きたいものの違いに悩んでいたのです。

月刊flowers2021年8月号、ミステリと言う勿れの整を描いた表紙
「月刊flowers」2021年8月号の表紙/小学館。2021年の対談に掲載。 出典

一番好きだった『別冊少女コミック』に投稿した

2021年の担当編集者・永田裕紀子さんとの対談で、田村さんは、もともと一番好きだった『別冊少女コミック』に投稿したと話しています。
好きな雑誌へ作品を出したかったことは、自分にとって自然だったそうです。

ただ、新人時代に求められたのは、少女を主役にすることでした。
アクションやサスペンスは認められず、アクションを描きたいならスポーツものにするようにと言われたと回想しています。
男性を主役にしたアクションを描きたかった田村さんには、苦しい時期でした。

好きだった雑誌にも、主人公やジャンルの条件があったのです。

同じ漫画でも、雑誌によって受け止め方は違った

新人時代、田村さんは、自分の人物を使って男性が主役の群像劇を描き、同人誌を作ったこともあります。
当時の『ウィングス』編集長は高く評価し、そのまま連載しないかと声をかけてくれました。
一方、『別冊少女コミック』の担当者には、その雑誌に合うものとは思われなかったそうです。

田村さんは、ある雑誌で認められなくても、別の場所では認められる場合があると話しています。
自分を評価してくれる人がいたことも、描き続ける自信になりました。
この同人誌を描いた経験は、自分の人物への愛着の記事で詳しく紹介しています。

『巴がゆく!』で、好きなものを描けるように

田村由美の漫画巴がゆく!文庫第1巻、2021年対談に掲載された表紙
田村由美『巴がゆく!』文庫第1巻/小学館。 出典

田村さんが初めて、好きなものでよいと言われた作品が『巴がゆく!』でした。
少女を主役にする条件は残っていましたが、描きたい物語へ進めることに、田村さんはわくわくしたと語っています。

その後、『BASARA』の企画を出したときにも、こんな話は通らないかもしれないと思っていたそうです。
ところが、すんなり認められ、驚きました。
それ以来、少女を主役にする条件は残りながらも、描きたい物語を描けるようになったと話しています。

田村由美の漫画BASARA第1巻、2021年の対談に掲載された表紙
田村由美『BASARA』第1巻/小学館。 出典

田村さんは、同じ『別冊少女コミック』で、描ける物語の幅を広げていきました。
雑誌が好きであることと、描きたいものを描けることが、最初から一致していたわけではありませんでした。

主人公の性別やジャンルを、気にせず描ける場所もある

同じ対談の中編で、永田さんは『月刊flowers』には、主人公の性別や年齢、ジャンルの決まりはないと説明しています。
ファンタジーもミステリもラブストーリーも描ける一方、女性が読んで楽しめるものを届けることは大切にしているそうです。

田村由美の漫画7SEEDS第1巻、2021年対談に掲載された表紙
田村由美『7SEEDS』第1巻/小学館。 出典

田村さんは、『ミステリと言う勿れ』では、初めて主人公の性別を気にせず描けた気がすると話しています。
『7SEEDS』は『別冊少女コミック』で始まったため、少女を主役にすることは決まっていました。
少女漫画という同じ呼び方でも、描く場所や時期によって条件が違っていたのです。

まとめ

田村さんは、担当編集者は選べなくても、自分がどこで描きたいかは選べると話しています。
自分に合わない場所で無理をしてデビューすると、その後も無理をし続けることになりかねない。
だから、どこへ持ち込むかを考えてほしいと伝えていました。

田村さん自身は、大好きな雑誌に投稿し、その中で描ける物語を少しずつ広げました。
その経験から語られた掲載誌選びは、デビューする場所を決める話にとどまりません。
デビューした後にも、自分の描きたいものを描いていけるかを考える助言だったのです。

この記事もおすすめ

コメント

アクセス解析について
タイトルとURLをコピーしました