椎名高志とグラニフはどう漫画を服にした?バッグの内側にも仕掛けを

美神たちの除霊場面を刺繍した黒いトートバッグ 椎名高志
「あこぎな美神さん」トートバッグ/2024年グラニフ取材掲載。撮影:泉大悟。

2024年の椎名高志とグラニフのコラボでは、『GS美神 極楽大作戦!!』と『絶対可憐チルドレン』の場面を、プリントや刺繍で衣服やバッグに取り入れました。
企画側は漫画を読み直して場面を選び、椎名は新しいイラストも描き下ろしています。
フードやポケットの内側まで使って、作品を知る人が楽しめる商品を作っていたのです。

原作者も驚いた、漫画好きの担当者による企画

2024年のグラニフ対談で、椎名は自分の作風を服にしてよいのか、と当初の驚きを話しています。
人物や世界観を、商品化のために作っていたわけではありません。
普段着のブランドでどうデザインするのか、楽しみにもしていました。

グラニフ取材で対談する椎名高志と石川祐
左が椎名高志、右がグラニフの石川祐/2024年対談。撮影:泉大悟。 出典

企画担当の石川祐は、子供の頃から『GS美神』を繰り返し読んできた人でした。
商品を作るために再び読み直し、担当デザイナーと、どこまで細かな話を取り上げるか相談したといいます。
石川たちは、当時のアニメを見ていた人にも分かる中心人物を、選び方の基準にしました。
その中にも、漫画を読み込んだ人向けの仕掛けを残しています。

第1話の除霊を刺繍に、脇役を内ポケットに

トートバッグ「あこぎな美神さん」は、第1話の温泉での除霊を取り上げた商品です。
バッグの生地の切り替えで坂道を作り、美神たちを刺繍で表しました。
石川は、刺繍で顔の細部を省いても、誰なのかがすぐに分かることを、椎名の人物デザインのよさとして挙げています。

美神たちの除霊場面を刺繍した黒いトートバッグ
「あこぎな美神さん」トートバッグ/2024年グラニフ取材掲載。撮影:泉大悟。 出典

内ポケットには、山の神になったワンダーフォーゲル部員がいました。
石川とデザイナーは、この人物も必要だと考え、氷漬けの印象から内側を水色にしたそうです。
椎名は細かい選び方に笑い、好きな人が作った内容だと喜びました。

水色の内ポケットに刺繍された山の神になったワンダーフォーゲル部員
トートバッグの内ポケットの刺繍/2024年グラニフ取材掲載。撮影:泉大悟。 出典

石川は、内ポケットの人物には、漫画好きとしての自分の好みが出たと話しています。

横島の煩悩を、フードの内側に入れる

石川たちは、横島のパーカーに、最初は文珠などの能力も盛り込むことを考えたそうです。
石川たちは、そこからゴーストスイーパー試験の場面へ絞りました。
胸元には横島の刺繍を置き、外から見たときの派手さを抑えています。

フードの内側には、横島の煩悩に関わるコマを入れました。
石川は、頭の中にあるものを、フードの中で表したと説明しています。
場面を選ぶ際も、横島のリアクションに目を向けていたそうです。

横島の原作コマを使ったパーカーのフード内側
「煩悩」パーカーのフード内側/2024年グラニフ取材掲載。撮影:泉大悟。 出典

椎名はこのデザインに大笑いし、ファンにも笑ってもらえそうだと応じています。
石川たちは、フードの内側を使うことにも、横島の煩悩を表す意味を持たせていました。

描き下ろしはプリントに、予知は帽子の裏側に

椎名への描き下ろしの注文は、三人を元気に描いてほしいというものでした。
椎名は、一枚の絵として面白くなることを考えたと説明しています。
石川は、Tシャツにシルクスクリーンのプリントを使い、取材で見せた試作品から色味を調整していくと話しました。

2024年のグラニフ商品に描かれた美神、横島、おキヌ
椎名の描き下ろしを使ったTシャツ/2024年グラニフ取材掲載。撮影:泉大悟。 出典

『絶チル』の帽子「未来」では、予知能力を持つイルカの伊号を取り上げました。
リバーシブルの帽子の裏側に、伊号が予知した未来の場面を入れています。
石川は、頭にかぶる物で何を表すかを考えて、予知を選んだと説明しました。

石川はフードや帽子など、頭にかぶる物を使って、人物の煩悩や予知を表そうとしていました。
椎名は、帽子の仕掛けをアートのようだと笑っていました。

まとめ

石川は、商品が好きな作品について話すきっかけになったり、漫画を読み返すきっかけになったりすればうれしいと話しています。
椎名も、着て少しうれしくなる使い方をしてもらいたいと応じました。
石川が目指したのは、服を入り口に、昔の読者が椎名の漫画に戻り、作品を知らなかった人にも読んでもらうことでした。

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