西森博之と飯沼ゆうきは何を分担した?『何もないけど空は青い』が生まれた経緯

男子と女子の高校生を描いた、飯沼ゆうきの満天の星と青い空連載告知に添えたイラスト 漫画家・作者
飯沼ゆうき『満天の星と青い空』連載告知の掲載イラスト/本人ブログ、2018年8月13日。

『何もないけど空は青い』は、西森博之さんがネーム原作を、飯沼ゆうきさんが作画を担当した漫画です。
西森さんの小説『満天の星と青い空』と同じ世界で、新しい主人公たちの話を作る依頼から生まれました。
作画者の選定では、絵の雰囲気や意欲に加え、西森作品への愛着も重視されています。
その後、飯沼さんは原点の小説そのものを漫画にする仕事にも取り組んでいます。

制服姿の男女と壊れた鉄塔を描いた何もないけど空は青い第1巻の書影
原作・西森博之、作画・飯沼ゆうき『何もないけど空は青い』第1巻/小学館。 出典

西森博之のネーム原作を、飯沼ゆうきが漫画にする

小学館の第1巻紹介は、西森さんの役割を「ネーム原作」と明記しています。
ネームは、本格的に原稿を描く前に、コマの流れや簡単な絵で漫画を組み立てるものです。
西森さんが漫画の形で原作を用意し、飯沼さんが作画を担う組み合わせでした。

担当者 『何もないけど空は青い』での役割
西森博之 ネーム原作
飯沼ゆうき 作画

飯沼さんは、すでに『いつわりびと◆空◆』を手がけていた漫画家です。

小説の世界を、違う主人公でも描いてほしい

企画を動かしたのは、『満天の星と青い空』の設定に惹かれた担当編集者でした。
金属が失われ、普通の暮らしができなくなる世界を、少年サンデーの漫画にも広げたい。
担当編集の鈴木翼さんは、居酒屋で西森さんへ原作を依頼したと振り返っています。
小説の世界を使いながら、主人公を変えた話をお願いしたのです。

線で描かれた少女と題字がある小説満天の星と青い空の書影
西森博之『満天の星と青い空』/小学館、2012年の小説単行本。 出典

こうして生まれた漫画の主人公が、高校生の河守仁吉です。
同級生の七ノ宮華羅との関係を中心に、文明が崩れた後の暮らしを描きます。
小説の主人公・中澤真吾たちとは、別の人物の物語として作られています。

作画の依頼に、飯沼ゆうきは即答した

作画者は、編集部が複数の候補を挙げて検討しました。
鈴木さんが飯沼さんを選んだ理由として挙げるのは、絵の雰囲気、やる気、西森作品への愛着です。
鈴木さんによると、飯沼さんは企画の説明が終わる前に「やります!」と答えたといいます。
描きたいという反応の速さが、編集者の記憶にも残っていました。

原点の小説も、飯沼ゆうきが描くことになった

2018年には、飯沼さんが『満天の星と青い空』の漫画化を手がけています。
『何もないけど空は青い』で組んだ二人が、今度は小説の真吾たちを描く仕事で再び組みました。

男子と女子の高校生を描いた、飯沼ゆうきの満天の星と青い空連載告知に添えたイラスト
飯沼ゆうき『満天の星と青い空』連載告知の掲載イラスト/本人ブログ、2018年8月13日。 出典

飯沼さんは2018年の本人ブログで、小説を初めて読んだときから描きたかったと明かしています。
連載の告知にも、描きたい作品を漫画にできた喜びが表れていました。

西森博之原作・飯沼ゆうき作画の漫画版『満天の星と青い空』第1巻の書影
原作・西森博之、作画・飯沼ゆうき『満天の星と青い空』第1巻/小学館。 出典

原点となった小説の発想は、西森博之が『満天の星と青い空』を書いたきっかけで紹介しています。

まとめ

西森さんと飯沼さんは、ネーム原作と作画を分担して、新しい主人公の漫画を作りました。
その後に手がけた『満天の星と青い空』は、飯沼さんにとって、好きだった小説そのものを描く仕事にもなっています。
編集者が作画者選びで注目した熱意と、飯沼さんが後に語った喜びからは、この共同制作を担った描き手の思いも伝わってきます。

コメント

アクセス解析について
タイトルとURLをコピーしました