青樹佑夜と樹林伸は同じ人? 『GetBackers』の原作者と作画担当

2019年の講談社の取材に掲載された樹林伸の写真 樹林伸
2019年の漫画原作についての本人取材より。講談社モーニング。

『GetBackers―奪還屋―』の原作者・青樹佑夜は、樹林伸のペンネームです。
樹林さんは『金田一少年の事件簿』では天樹征丸、『サイコメトラーEIJI』では安童夕馬という名前で原作を手がけています。
作品ごとに作者名が違っていても、原作者は同じ樹林さんなのです。

ただし、『GetBackers』の絵を描いたのは綾峰欄人です。
原作者の名義と、漫画を描く人の名前を分けると、表紙に並ぶ二人の役割が分かります。

『GetBackers』は青樹佑夜原作・綾峰欄人漫画

原作青樹佑夜・漫画綾峰欄人と記載されたGetBackers第1巻の表紙
『GetBackers奪還屋』第1巻。表紙下部に原作・青樹佑夜、漫画・綾峰欄人の表記。©青樹佑夜・綾峰欄人/講談社。 出典

『GetBackers』は、美堂蛮と天野銀次が奪還屋を営む漫画です。
第1巻の表紙には「原作 青樹佑夜」「漫画 綾峰欄人」とあり、講談社の書誌でも、綾峰欄人が「著」、青樹佑夜が「原作」と記載されています。
この青樹佑夜が樹林さんに当たります。
綾峰さんまで樹林さんの別名という意味ではありません。

樹林さんは、自身の漫画原作を台詞とト書きの入った脚本形式で書くと説明しています。
作画担当が上げたネームも読み、編集者を交えてアイデアを出し合うそうです。
「原作」と「漫画」という役割があり、その二人が漫画を一緒に作る仕事なのです。

原作者名が変わるのは、先入観なしで読んでもらうため

2019年の講談社の取材に掲載された樹林伸の写真
樹林伸。2019年の漫画原作についての本人取材より。 出典

樹林さんは講談社の編集者として働いた後、1999年に独立しました。
編集者時代には『シュート!』や『GTO』などを担当し、やがて自分でも原作を手がけるようになります。

樹林さんが名義を使い分ける理由は、作品を読む前に「あの漫画の作者か」という先入観を持たせたくないからです。
本人は大学の取材で、いつも新人として読者と向き合いたいと説明しています。

『金田一少年の事件簿』を書いた人だと知る前に、『GetBackers』という新作を読んでもらう。
樹林さんにとって名義を変えることは、過去の作品への評判を、新しい作品の前に置かないための工夫なのです。

「亜樹直」は姉と使う共同名義

亜樹直原作・オキモトシュウ漫画の神の雫第44巻の表紙
『神の雫』第44巻。亜樹直原作、オキモト・シュウ漫画。©亜樹直・オキモト・シュウ/講談社。 出典

もう一つ覚えておきたいのが、『神の雫』の原作者「亜樹直」です。
こちらは樹林伸と姉の樹林ゆう子が共同で使うペンネームで、作画はオキモト・シュウが担当しています。

樹林さんは『マリアージュ ~神の雫 最終章~』の原作について、姉と場面の見せ方を相談したやり取りを2019年の本人取材で話しています。
登場人物が和と洋のどちらを選んだか示すため、箸かフォークを上げる場面についての話です。
姉は投票や札を使う方法を提案したものの、樹林さんは絵を思い浮かべ、違いがすぐに伝わる箸とフォークの方法を選びました。
同じ原作の中でも、二人が案を出し合っていることが分かります。

この共同執筆の話は、亜樹直名義の作品についての説明です。
『GetBackers』まで姉弟の共同原作だということにはなりません。

まとめ

青樹佑夜という名前の先には、探偵ものやワイン漫画も手がけてきた樹林伸の作品歴があります。
同じ原作者を見つける楽しさに加え、作品ごとに組んだ漫画家や共同執筆者にも目を向けると、表紙の作者名から、漫画を一緒に作った人たちまで分かります。

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