『るろうに剣心』巴は復讐相手の剣心を、なぜ最後に守ったのか

雪代巴と緋村剣心が描かれた『るろうに剣心』第21巻の表紙 るろうに剣心
『るろうに剣心』第21巻/和月伸宏・集英社

剣心は巴の許嫁だった清里明良を斬った。
巴は清里の仇を討つために闇乃武へ協力し、剣心に近づく。
それなのに最後は、闇乃武の頭領・辰巳と剣心の間へ飛び込んだ。
巴は清里を失った悲しみを抱えたまま、剣心との暮らしの中で、今度は剣心を失いたくないと思うようになった。

清里を失った巴は、剣心の殺しを問い続けた

巴の日記には、清里の死を知らされた日の記録がある。
そこには、清里を京都へ行かせたとき、なぜ引き止めなかったのかという後悔もある。
巴にとって剣心は、大切な人を奪った相手だった。

小萩屋で剣心と暮らし始めた巴は、彼が暗殺を続ける姿を見る。
そして「このままずっと人を殺め続けるつもりですか?」と尋ねる。
巴の問いは、剣心が掲げる新時代のためという目的だけで、人を斬る行為を片づけられないことを突いている。

人を殺め続けるのかと剣心に尋ねる巴
『るろうに剣心』/和月伸宏・集英社

五か月の暮らしで、巴が知った剣心

剣心と巴は京を離れ、夫婦として田園で暮らす。
剣心は薬を作り、村の人たちと接するようになる。
剣心自身が、この五か月の暮らしで、自分が何のために闘うのかをはっきり教えられたと巴に話している。

巴との五か月の暮らしについて話す剣心
『るろうに剣心』/和月伸宏・集英社

清里を斬った事実は、その生活で消えない。
一方、巴は剣心と同じ家で過ごし、彼が人々の暮らしを守ろうとする姿にも触れた。
巴は剣心が清里を斬ったと知ったうえで、ともに暮らした剣心を愛するようになった。

守る選択は、最後の一瞬に始まったわけではない

巴は闇乃武の辰巳に、剣心の弱点は「寝込み」だと告げる。
しかし巴は以前、眠っていた剣心に近づいたとき、反射的に刀を向けられている。
巴は隙がないと知りながら、闇乃武に違う答えを渡した。
この時点で巴は、剣心を討つ計画に従っていない。

辰巳にとっては、巴自身が剣心の弱点だった。
闇乃武の仕掛けで剣心が追い詰められたとき、巴は辰巳を押さえるように二人の間へ入る。
剣心の刀は辰巳とともに巴も斬った。

辰巳と剣心の間に入る巴
『るろうに剣心』/和月伸宏・集英社

巴は最後に「これで良いんです」と剣心に告げる。
巴が選んだのは、剣心を死なせないことだった。

剣心に最期の言葉を告げる巴
『るろうに剣心』/和月伸宏・集英社

辰巳の計画と、巴自身の選択

辰巳は、巴と剣心の結びつきを剣心を倒す手段にした。
巴は清里を失った痛みを抱えながらも、剣心への愛情から辰巳に背いた。
巴が嘘の弱点を告げ、最後に辰巳の前へ出たのは、剣心を死なせないという一つの判断からだった。
闇乃武は巴を剣心の弱点にできても、巴の行動までは決められなかった。

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