光原伸さんの作品を『アウターゾーン』以外から読むなら、『サランドラの壺 光原伸短編集』があります。
表題作を含む5編を収めた一冊で、1987年のデビュー作『リボルバー・クイーン』や、代表作の原型になった『マジック・セラー ~ラスト・コール~』も読めます。
ミザリィが案内人になる前に、光原さんはどんな物語を描いていたのか。
その足跡をたどれる短編集です。
『サランドラの壺』に収録された5編
収録作は、目次の順に次の5編です。
- サランドラの壺
- 非情の標的
- 絶対安全サーヴィス会社
- マジック・セラー ~ラスト・コール~
- リボルバー・クイーン
紙の単行本は2014年、電子版は2015年に発売されました。
本の最後に置かれた『リボルバー・クイーン』がデビュー作なので、収録順は発表順ではありません。
代表作から初期の読切へさかのぼりたい人は、後半の2編で、デビュー作と連載前の作品を続けて読めます。
デビュー作は、ロシアンルーレットの勝負
『リボルバー・クイーン』は、1987年の『週刊少年ジャンプ増刊Summer Special』に載った作品です。
ラスベガスでギャンブルに負けた男が、「拳銃の女王」と呼ばれる女性とロシアンルーレットで対決します。

光原さんは、月例賞で佳作に入った『処刑の密室』をきっかけに、編集者の茨木さんが担当になりました。
その後に送った『リボルバー・クイーン』のネームが会議を通り、デビューが決まっています。
光原さんは、それまで描いていた西部劇からスリラーへとジャンルを変えていました。
『マジック・セラー』には、ミザリィ以前の案内人がいる
1989年の『マジック・セラー ~ラスト・コール~』には、過去と通話できる電話が登場します。
その不思議な品を紹介するのが、「マジック・セラー」と名乗る物売りです。

光原さんは、後に『アウターゾーン』を作る際、この作品をもとにしました。
当時の案内役は男性で、連載ではその役割を女性のミザリィに替えています。
『アウターゾーン』を読んでからこちらへ進むと、不思議な出来事へ読者を招く役が、すでに読切にいたことが分かります。
この読切から一話完結の連載へ進んだ過程は、光原さんが語った『アウターゾーン』誕生の経緯で紹介しています。
表題作は、何も願わない少女と魔女の話
『サランドラの壺』では、虐げられていた少女の前に、古い魔女を封じた壺が現れます。
壺から復活した魔女は願いをかなえるはずでしたが、少女は何も願いません。
少女が何も願わないために、魔女が暴走を始めるという導入です。
新しいミザリィの物語なら『リ:ビジテッド』へ
ミザリィのいる世界でもっと読みたい人には、『アウターゾーン リ:ビジテッド』があります。
こちらは2011年に始まった新シリーズで、『サランドラの壺』とは別の本です。

第1巻には『ラブドール・マリア』などの新作6編と、光原さん自身による作品解説が収められています。
『リ:ビジテッド』の刊行巻と収録内容では、3巻までの内容を案内しています。
まとめ
光原さんの初期作品を知りたいなら、『サランドラの壺』の後半から『リボルバー・クイーン』『マジック・セラー』へ進む読み方もできます。
デビュー作の勝負から、不思議な品を扱う案内人へ。
短編集の目次をさかのぼると、『アウターゾーン』が生まれる前の光原さんの仕事に出会えます。


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