冨樫義博さんのデビュー作や初期の読み切りをまとめて読むなら、『狼なんて怖くない!!』があります。
表題作を含む六編を収録し、『とんだバースディプレゼント』もこの本で読めます。
紙の本が刊行されたのは1989年で、『幽☆遊☆白書』の連載が始まる前の一冊です。
現在は電子版も配信されています。
収録されている六編
集英社の目次にある収録作を、本の収録順に並べると次のようになります。
『狼なんて怖くない!!』
『オカルト探偵団-Part1-』
『オカルト探偵団-Part2-』
『HORROR ANGEL』
『とんだバースディプレゼント』
『ぶっとびストレート』
『オカルト探偵団』は二編に分かれており、それぞれを数えた六編です。
デビュー作は最初ではなく、後半に収録されています。
本をめくる順番が、そのまま冨樫さんの発表順というわけではありません。
表題作は、狼男の恋から始まる
『狼なんて怖くない!!』の主人公・拓狼は、満月の夜に姿が変わる狼男です。
正体が知られるたびに学校を移ってきた彼が、新しい学校でさやかに恋をします。
彼女に近づこうとバスケ部へ入る、というのが物語の入口です。
狼男という設定から始まりますが、目の前にあるのは、好きになった相手との距離をどう縮めるかという悩みです。
怪異を登場させながら、学校生活や恋愛につなげている。
長い戦闘や複雑な能力戦とは違う、冨樫さんの初期作品へ入っていける話になっています。
デビュー作のカラー原画も、本人が公開している

収録作の『とんだバースディプレゼント』は、1987年に発表されたデビュー作です。
冨樫さんは2024年、公式Xでこの作品のカラー原画を公開しました。
原画では、剣を構えた少年にドレス姿の少女が寄り添い、その背後を大きな顔が覆っています。
二人の顔には汗が浮かび、大きく開いた目と合わせて、慌てた様子が伝わってきます。
紙の端には作品名と作者名も残っています。
今の代表作を知ってからこの絵を見ると、若い頃に描いていた人物の顔や、場面の見せ方にも目が向きます。
その絵に描かれた二人の物語を読めるのが、この短編集です。
今読むには、電子版が探しやすい
集英社の書誌では、紙版は1989年、電子版は2014年の発売です。
少年ジャンプ+の書籍ページからも探せます。
表紙には大きな狼の顔が描かれ、「冨樫義博短編集」と書かれています。
この六編以外の作品も知りたい場合は、冨樫義博の作品一覧も入口になります。
連載作や、この本の後に発表された読み切りへも読み進められます。
まとめ
代表作を読んで好きになった作者の、まだ違う顔を見たい。
『狼なんて怖くない!!』は、そんなときに手を伸ばせる一冊です。
デビュー作を経歴の一行として知るだけでなく、実際の漫画や絵を通して、連載作家として歩き始める頃の冨樫さんの仕事に触れられます。


コメント