森山大輔の『Fate UBW』はどう描かれる?凛の表情と戦闘のコマを見る

赤い背景に遠坂凛と宝石を描いた森山大輔による第1巻の書影 森山大輔
『Fate/stay night[Unlimited Blade Works]』第1巻/漫画:森山大輔、原作:TYPE-MOON、KADOKAWA。

『Fate/stay night[Unlimited Blade Works]』の漫画を描いているのは、『クロノクルセイド』『ワールドエンブリオ』の森山大輔さんです。
原作はTYPE-MOONで、遠坂凛のルートを漫画化した作品です。
森山さんの絵では、凛とアーチャーの会話を、二人の顔や立ち方からも楽しめます。
戦闘になると、長い武器やなびく髪、大きなコマを使い、会話の場面とは違う動きを見せています。

第1巻は2022年に刊行されました。
今回は、その巻の凛と英霊たちの姿から、森山さんの描き方を見てみましょう。

赤い背景に遠坂凛と宝石を描いた森山大輔による第1巻の書影
『Fate/stay night[Unlimited Blade Works]』第1巻/漫画:森山大輔、原作:TYPE-MOON、KADOKAWA。 出典

凛の家から始まる聖杯戦争

凛が挑む聖杯戦争では、七人の魔術師が、それぞれ英霊を召喚して争います。
凛も英霊を呼び出す準備をしますが、その前にあるのは自宅での電話です。

電話の相手の言峰綺礼は参加を促し、凛はすでに分かっていると返します。
家で受話器を取る少女から、聖杯戦争に挑む魔術師へと話が進みます。

電話機と受話器を持つ凛、その下に自宅の階段のそばで振り返る凛を描いたページ
『Fate/stay night[Unlimited Blade Works]』第1巻/漫画:森山大輔、原作:TYPE-MOON、KADOKAWA。 出典

凛とアーチャーは、全身と顔で向き合う

凛が召喚しようとしたのはセイバーでしたが、現れたのはアーチャーです。
二人が対面する見開きでは、まず部屋全体と、二人の全身が大きく描かれています。

壊れた部屋で座るアーチャーと、立っている凛。
二人の対面を、まず全身と周囲の様子から眺められます。

壊れた室内で座るアーチャーと立つ凛を描く見開き、下に二人の顔のコマ
『Fate/stay night[Unlimited Blade Works]』第1巻/漫画:森山大輔、原作:TYPE-MOON、KADOKAWA。 出典

その下には、一人ずつの顔を見せるコマがあります。
目を丸くして口を開ける凛と、口を閉じて凛を見るアーチャーの、反応の違いへ寄っていく順序です。

この見開きには、二人の台詞がありません。
召喚された英霊の姿を紹介すると同時に、立っている凛と座っているアーチャーの、対面の様子まで描いています。
何を言うかを読む前に、まず二人がどんな顔で向き合うのかを見る時間があるのです。

アーチャーに運ばれる凛の髪と、街の遠さ

凛とアーチャーが急いで衛宮士郎のもとへ向かう場面では、二人を近くから描くコマの中に、遠くの街も入っています。
アーチャーが凛を運び、凛の長い髪は後方へ大きくなびきます。
体の周囲には横方向の線が走り、二人の下には建物の屋根が小さく並びます。

街の上を移動するアーチャーと凛、なびく髪と服、その下に二人の会話
『Fate/stay night[Unlimited Blade Works]』第1巻/漫画:森山大輔、原作:TYPE-MOON、KADOKAWA。 出典

移動する大きな姿の下には、顔を近づけた会話のコマが続きます。
街を見下ろす高さでの移動と、二人の掛け合いを同じページで読めます。

英霊の大きな姿と、向き合う人物の顔

アーチャーとランサーが学校で戦う場面では、ランサーの体と槍が、ページの大きな部分を占めます。
ランサーは体をひねり、長い槍を斜めに構えています。
槍と腕がコマの境界をまたぎ、その下には、目を開いたアーチャーの顔が入ります。

長い槍を構えるランサーの全身と、その下に目を開いたアーチャーの顔
『Fate/stay night[Unlimited Blade Works]』第1巻/漫画:森山大輔、原作:TYPE-MOON、KADOKAWA。 出典

セイバーとの対面では、人物を見る高さも変わります。
凛の後ろ姿が手前に置かれ、セイバーは凛の向こうに大きく描かれています。
セイバーの背後には雲と月があり、手元から凛の方へ、見えない刃の輪郭を示すような線が伸びています。

手前に凛の後ろ姿を置き、雲と月を背にするセイバーを見上げる構図
『Fate/stay night[Unlimited Blade Works]』第1巻/漫画:森山大輔、原作:TYPE-MOON、KADOKAWA。 出典

セイバーを見上げる凛の位置から、英霊の体と空を一緒に眺める構図です。
召喚したアーチャーを部屋の中で正面から見る場面とは、人物同士の距離も、見る角度も違います。
同じページに凛と英霊がいても、座っているアーチャーとの対面と、剣を向けるセイバーとの対面では、二人の配置が変わっています。

森山さんは、自作の『クロノクルセイド』でも、二人の顔を会話に合わせて描き分けています。
ロゼットたちの掛け合いから凛とアーチャーの会話へ読み進めると、別の人物を描く森山さんの顔と姿勢を見比べられます。

まとめ

森山大輔さんの漫画版『Fate UBW』では、凛が英霊と会う場面を、人物の配置や見る角度からも味わえます。
召喚したアーチャーと向き合う凛と、セイバーを見上げる凛では、英霊との距離の見せ方が変わっています。
『Fate』の人物を知っている人も、凛がその相手をどこから見ているのかに目を向けると、森山さんが描く対面の場面をもう一度楽しめます。

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