高田裕三さんの作品は、『3×3EYES』のような伝奇漫画だけではありません。
未来から来た娘との出会いを描く『リトル・ジャンパー』、女性パイロットが主役の『CAPTAINアリス』、ロボットを操る少年と少女の『無号のシュネルギア』など、題材は幅広く変わっています。
近年は『転生したらスライムだった件』の番外編で、他の作者の原作を漫画にする仕事にも参加しました。
『3×3EYES』の前、長期連載の最中、完結後という順で、主な作品を見ていきましょう。
『3×3EYES』以前の仕事――『常夏バンク』
高田さんは、大学1年のときに漫画家としてデビューしました。
『3×3EYES』より前の刊行作に、『常夏バンク』があります。
第1巻が出たのは1985年です。

初期に少女の絵を評価されていた高田さんは、一方で伝奇を描きたいと考えていました。
求められた少女の絵と、本人が描きたかった世界が出会って、『3×3EYES』が生まれます。
その出発点は、高田さんが少女と化け物を描いた理由でも紹介しています。
本編連載中に描いた『万能文化猫娘』『碧奇魂ブルーシード』『幻蔵人形鬼話』
『3×3EYES』の本編は、1987年から2002年まで続きました。
人間になることを願うパイと、不死人になった八雲の旅を描き、1993年度の講談社漫画賞を受賞しています。
その15年間、高田さんの作品歴には別の漫画も加わりました。
1990年に『万能文化猫娘』、1992年に『碧奇魂ブルーシード』の掲載が始まっています。
後年の『万能文化猫娘COMPLETE』には、最初の『万能文化猫娘』と、1997年に始まった『新・万能文化猫娘』がまとめられています。
『碧奇魂ブルーシード』にも、旧単行本をまとめた新装版があります。
1998年に第1巻が出た『幻蔵人形鬼話』は、人形を操る辻村幻蔵が、怨念を抱いた死者の魂を弔う物語です。
パイと八雲の長い旅に対し、こちらは、人形を操る幻蔵と死者との関わりが物語の入口です。
完結後は、明治の東京と未来へ――『九十九眠る しずめ』『リトル・ジャンパー』
2002年に『3×3EYES』の本編が完結した後も、高田さんは別の舞台で漫画を描きました。
2004年に第1巻が出た『九十九眠る しずめ』は、明治の東京で少女・倉橋しずめが魔鎮めをする物語です。
『3×3EYES』の現代の冒険から、明治という時代の街へと舞台が変わります。
2004年に掲載が始まり、翌2005年に第1巻が刊行された『リトル・ジャンパー』は、時間を移動するSFラブコメです。
17歳の一ノ瀬弘樹の前に、未来から来た15歳の娘・チマが現れます。
父親と娘の年齢がわずか二つしか違わないという、時間旅行ならではの出会いが物語の入口になっています。
伝奇を時代物として描く仕事と、未来から来た人物のいる日常を描く仕事。
本編完結後の作品にも、その両方がありました。
空の仕事を描く『CAPTAINアリス』
2009年に第1巻が出た『CAPTAINアリス』では、旅客機の操縦が物語の中心になります。
主人公の長谷川ありすは、父親からパイロットとしての教育を受け、世界一の機長を目指す26歳です。

ありすは、事故に遭う飛行機を予知できるという少年と出会い、危険なフライトを無事に終えるためのチームへ加わります。
超常的な力も登場しますが、女性パイロットの仕事と、飛行機を安全に飛ばすための行動が前面に出る作品です。
代表作へ戻った二つの『3×3EYES』続編
新しい作品を描く一方で、高田さんは2014年に『3×3EYES 幻獣の森の遭難者』を始めました。
その後、『鬼籍の闇の契約者』も描いています。
通常の単行本は、本編が全40巻、二つの続編がそれぞれ全4巻と全8巻です。
どちらも、完結した本編から時間がたったパイと八雲を描く続編です。
再開までの迷いについては、高田さんが続編を描くまでの経緯で詳しく紹介しています。
ロボット漫画『無号のシュネルギア』と、『転スラ』番外編の漫画担当
2019年に掲載が始まった『無号のシュネルギア』は、地球外のAIを備えた機体を操る高校生・二ノ宮シロと、国連側の少女パイロット・ブランカの物語です。
第1巻は2020年に刊行され、2026年10月10日現在も『月刊少年シリウス』で連載中です。
第9巻は、同年10月8日に発売されました。

高田さんは、第1巻の折り返しで、以前ロボットものの依頼を断った後も、長年考え続けていたことを振り返っています。
妖怪や神々の冒険だけでなく、機体を操る少年と少女も、高田さんが長く温めていた題材でした。
さらに2023年には、『転生したらスライムだった件 番外編 ~とある休暇の過ごし方~』の掲載が始まります。
リムル、ヒナタ、ヴェルドラの三人が、魔法の聖地・魔塔へ向かう物語です。

この番外編では、伏瀬さんが原作、高田裕三さんが漫画、みっつばーさんがキャラクター原案を担当しました。
『3×3EYES』のような本人の原作漫画とは、仕事の分担が異なります。
単行本は2024年から刊行され、2025年に全4巻で完結しました。
まとめ
高田さんが長く温めていたロボットものと、他の作者の原作を託された『転スラ』番外編。
近年の仕事には、自分が描きたかった物語を形にすることと、任された物語を漫画にすることの両方があります。
『3×3EYES』の後をたどる楽しみは、パイと八雲の続きを知るだけでなく、高田さんがそうした別の題材をどう描いたのかに出会うところにもあります。






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