『最強伝説 黒沢』の黒沢は、登場時に44歳でした。
作品を始めた頃の福本伸行さんと、同じ年齢です。
続編『新黒沢 最強伝説』では、黒沢を54歳にしました。
年齢を重ねても、黒沢の心は若者だと、福本さんは語っています。
先にあったのは、冴えない中年男性の姿
福本さんは2023年の本人インタビューで、まず中年の冴えない男という人物像があり、44歳で始めたと説明しています。

『黒沢』で描きたかったのは、ユーモアであり、戦い続ける男の話でもありました。
描き進めるうちに、その臆病な男が喧嘩をする理由や、小さな気持ちを追う漫画へ変わっていきます。
初期構想から黒沢が育っていった経緯にも、人物を描く中で作品が変わる、福本さんの仕事の面白さがあります。
続編では、黒沢も54歳になった
福本さんは、約10年後に始めた続編では、黒沢を54歳にしたと語っています。
理由は、黒沢に「現在」を生きていてほしかったからです。
最初の44歳のままにせず、続編を始める頃の時間に合わせて、主人公も年齢を重ねさせたのです。

ただし、この約10年は、福本さんが語る作品を始めてから続編を始めるまでの時間です。
小学館による第1巻の紹介では、黒沢が病院のベッドで過ごしたのは8年間とされています。
続編を始めるまでの現実の時間と、物語の中で黒沢が眠っていた期間は、別の話です。
中年になっても、心まで変わるわけではない
福本さんが年齢について語ったのは、自分が年を重ねて実感したことでもあります。
人間の中身は、若い頃と変わらない。
そう感じるようになったと話しています。

その実感とともに、福本さんは、漫画の主人公は本質的には若者であるべきだとも語りました。
黒沢については、青春を十分に経験せず、こじらせたまま大人になった若者だと捉えています。
作者がいう黒沢の若さは、年齢を低く設定することではなく、心のあり方についての話なのです。
年齢を重ねるほど、自分のふがいなさを恥じる思いも抱えるようになる。
福本さんは、そうした中年の実感も、黒沢を説明する中で語っています。
黒沢の年齢には、作者と同じ数字だけでなく、年を取っても心まで別人になるわけではない、という捉え方が重なっています。
まとめ
福本さんが語る黒沢は、年を取っても、青春をこじらせた気持ちを抱えた主人公です。
中年男性の暮らしと、その心の若さを、同じ人物の中に描く。
作者と年齢を重ねる黒沢には、福本さんが実感した大人の姿が表れています。


コメント