森山大輔さんの『クロノクルセイド』では、1920年代のニューヨークの風景に、悪魔祓いの戦いが重なります。
古い形の車や電話、消防車と巨大な悪魔、修道服と銃が、同じ場面の中に描かれています。
第1巻の冒頭を見ていくと、街の風景と幻想的な人物をつなぐ具体的な描き方が分かります。
港の全景から、ロゼットの手元、悪魔に壊される車へと、見る場所を移しながらたどってみましょう。
港の全景から、ロゼットが使う電話へ
冒頭の港では、水面の向こうに燃える船と街の建物が見えます。
手前には、後部に予備のタイヤを付けた車と、その近くで電話をかけるロゼットがいます。
広い港の景色と、現場にいる人物の姿を一緒に見られる構図です。

ロゼットが使っているのは、丸いダイヤルの付いた箱形の電話機です。
ロゼットが手を伸ばす物や、すぐそばにある物に、レトロな形が描き込まれています。
電話の向こうからは、応援が来ないことを告げられます。
港を眺める二人の場面で、街の眺め、連絡の道具、これから二人で対処する状況が、一つにつながっています。
隊員や車と並ぶことで、悪魔の大きさが伝わる
現場には、消防車や消防隊員がいます。
そこへ現れる悪魔は、長い舌と牙、丸く突き出た目、鎧のような肩を持つ大きな姿です。
顔を大きく見せるコマに続き、隊員たちと同じ場所にいる大きな体が描かれます。

隊員たちの背丈と並べると、悪魔が人間よりずっと大きいことが分かります。
さらに悪魔が車を踏み壊すので、体の大きさだけでなく、周囲の物を壊す力まで目に見えます。
描き込まれた車が、怪物の迫力を伝える物差しにもなっているのです。
修道服と銃が、ロゼット一人の姿に重なる
ロゼットの姿も、作品の組み合わせをよく表しています。
頭を覆う布を付けた修道服に、ゴーグルと手袋、腰の装備が加わっています。
悪魔に銃を向ける場面では、銃の前端に十字の印が見えます。

戦いの後にも、街の大きな景色を見せる
港の事件の後には、高い建物が並ぶ街の全景が描かれます。
その景色に、1920年代のアメリカの発展と、闇にいる怪異を語る言葉が重なります。
ロゼットとクロノのやり取りから視野が広がり、二人が活動する都市を見渡す場面です。

森山さんのカラー絵やほかのイラストの仕事は、画集『CHRONICLE』の紹介でも取り上げています。
漫画の場面と、一枚の絵として描かれた人物を見比べる楽しみもあります。
まとめ
森山大輔さんの作画を楽しむなら、人物の顔から、手元や足元へも目を向けてみてください。
悪魔の足元で壊れる車や、ロゼットの手にある電話と銃は、街の雰囲気を伝えながら、事件にも関わっています。
背景と小道具まで追うと、ロゼットたちが暮らし、働く街として『クロノクルセイド』の世界を眺められます。

コメント