『うしおととら』の終盤で、これまで登場した人物たちが力を合わせる。
藤田和日郎さんは、その共闘を描きたくて、人物の感情を積み重ねていったといいます。
大勢を登場させる場面の裏では、誰がどこにいるかを確かめる、地道な作業も続いていました。

最後にみんなで戦う場面を描きたかった
藤田さんは田中圭一さんとの対談で、強大な敵へ登場人物たちが共に立ち向かう形は、多くの人が好きな娯楽だと語っています。
本人も、そうしたクライマックスを見たかったのです。
『うしおととら』では、最後の共闘を目指して、一人ひとりの感情を描き重ねました。
藤田さんは、その積み重ねが最後の感動につながると考えていました。

名前をノートに書き、居場所を確認した
大勢の人物を動かすために、藤田さんが使ったのはノートでした。
登場人物の名前を書き、それを見ながら、今どこにいるのかを確認して原稿を描いたと話しています。

人物の居場所を確かめながら、共闘するまでの感情も描く。
藤田さんは、大勢が動く場面を、その両方の作業で支えていました。
阿紫花の終わりを支えた、10円の約束
人物の最後について、藤田さんは2025年の本人取材で、一人ひとりに「花道」があると話しています。
死に方を描くことは、その人物の生き方を描くことでもある、という考えです。
『からくりサーカス』の阿紫花英良について、藤田さんは、約束する相手がいない孤独と、退屈を結びつけて説明しています。
鳴海から10円を受け取って引き受けた約束は、金で動いてきた阿紫花にとって、何より大切なものになりました。

藤田さんは、阿紫花の殺し屋としての誇りも、その約束を破れなかった理由に挙げています。
人物の終わりを描く時には、その人物にとって何が一番大切だったのか、繰り返し考えると語りました。
まとめ
藤田さんは、共闘へ向けて人物の感情を積み上げ、人物の最後には、その人が大切にしたものを描こうとしていました。
終盤で再び会える人物にも、途中で別れる人物にも、作者が考え続けた歩みがある。
大勢が集まる迫力と、一人ひとりの生き方を最後まで見届ける楽しみが、藤田さんの描く結末には重なっています。


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