『椎名高志の漫画術』は、画業30周年に合わせて2019年に刊行された、原画と自作解説をまとめた本です。
『GS美神 極楽大作戦!!』や『絶対可憐チルドレン』のイラストに、椎名自身が語る作品や人物の誕生の話が重なります。
美神たちの活躍を読むときとは違う、漫画を思いついた作者の側から楽しめる一冊です。
『GS美神』だけでなく、短編や漫画化の仕事も並ぶ
小学館から発売されたB5判、128ページの記念本で、著者は椎名高志です。
カラーイラストと漫画原稿を収め、本人が自作と登場人物を解説しています。

目次には『GS美神』『絶対可憐チルドレン』に加えて、『(有)椎名百貨店』『MISTERジパング』『一番湯のカナタ』などが並びます。
『ウルトラマンネクサス』の漫画化や、短編を集めた『(有)椎名大百貨店』も取り上げられています。
代表作を二つ読むだけでは見えにくい、椎名がいろいろな形の漫画を描いてきたことも分かります。
美神を思いついたときの話を、本人の言葉で読める
美神令子の解説では、椎名は幽霊屋敷を掃除する地上げ屋の美女という着想から、人物を描き始めたと話しています。
そこから生まれたのが、色気があり、あくどいのに、どこかさっぱりした美神でした。
悪霊と戦う強いヒロインを作るだけではなく、商売人としての美神らしさが出発点にあったことを読めます。

この本には、作品をまとめて語るページと、一人ずつ人物を語るページがあります。
作品全体の発想と、個々の人物をどう作ったかの両方に触れられます。

『絶対可憐チルドレン』の自作解説では、愛らしく才能がある問題児と、その子を見捨てないマネージャーの関係が最初に浮かんだ、と語られています。
超能力の設定だけでなく、困った子供と面倒を見る大人の関係から、作品の始まりをたどれるのです。
美神の誕生と並べて読むと、完成した設定の紹介とは違う、作者が最初につかんだ人物や関係が見えてきます。
年表と原画展の解説で、作品のつながりをたどる
作品年表は1989年から2019年までをまとめています。
デビューからの仕事を年順に追い、気になった作品の解説へ戻れる資料です。

目次には、2019年の原画展「椎名百貨店 in マルイ」の音声解説を取り上げた項目も、前期・後期に分けて載っています。
原画を眺めながら、作者が作品について語った解説も読めます。
本書が発売された2019年には、『絶対可憐チルドレン』はまだ連載中でした。
2021年の完結や、その後の『半妖の夜叉姫』の漫画化は、本書より後の仕事です。
本書は2019年までの歩みを振り返る本です。
その後の仕事や作品への思いを知りたい場合は、後年の対談へ進めます。

2024年の対談では、本書にも触れながら、昔の人物を描き直すことや、長くなった『絶チル』を振り返っています。
連載中の制作話が残るバックステージも合わせると、描いていた頃の言葉と、後から振り返った言葉の両方を楽しめます。
まとめ
好きな登場人物の絵を見て、その人物を作者がどう思いついたのかを読む。
『椎名高志の漫画術』では、原画を眺める楽しみに、作品が生まれるまでの本人の話が加わります。
美神のあくどさや、『絶チル』の三人と皆本の掛け合いを好きだった人には、その面白さを作者の側からたどれる本です。


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