『GS美神』と『絶チル』の時間の進め方は?椎名高志が語る成長の描き方

椎名高志の肖像、2024年グラニフ取材 椎名高志
椎名高志/2024年グラニフ取材。撮影:泉大悟。

椎名高志は、『GS美神 極楽大作戦!!』ではおなじみの掛け合いを続けること、『絶対可憐チルドレン』では子供たちの成長を描くことを大切にしていたと話しています。
『絶チル』の小学生から高校生まで続く物語も、最初からその長さが決まっていたわけではありません。
小学生編を終える判断が、その後の時間の進め方を変えるきっかけになりました。

『GS美神』は、おなじみの人物で話を続ける発想

椎名は2024年のグラニフ取材で、『GS美神』を、一話完結の話を続けていく漫画として考えていたと説明しました。
美神令子と、その下で働く横島忠夫たちのやり取りを楽しむ形です。

GS美神 極楽大作戦 第1巻の表紙
『GS美神 極楽大作戦!!』第1巻/椎名高志、小学館。 出典

長い連載には、横島の能力が強くなることや、おキヌが人間に戻ることなど、大きな変化もあります。
その中で椎名は、横島の基本的な人物像と美神との関係を保とうとしていました。
横島が強くなる展開を加えても、美神と横島のおなじみの掛け合いは続ける方針だったのです。

『絶チル』は、小学校卒業を一つの区切りにしていた

『絶チル』は、強い超能力を持つ薫、葵、紫穂の三人と、三人を指導する皆本光一を中心とする漫画です。
第1巻では三人は10歳で、原作の葵の登場にも、その年齢が記されています。

10歳の野上葵が登場する絶対可憐チルドレン第1巻の公開抜粋
『絶対可憐チルドレン』第1巻、10歳の野上葵の登場/椎名高志、小学館。 出典

椎名は、子供たちをうまく育てられなかった場合にどうなるかを、予知の形で早い段階から見せたと説明しました。
子供たちを支える日々と、将来に起こり得る出来事を、一つの物語に置いたのです。

椎名は、小学校を卒業するくらいで物語を終えると思っていたそうです。
子供たちが未来を信じて進んでいくところで区切り、その先は読者の想像に任せる形も考えていたといいます。

小学生編を終え、予知の未来を追うことにした

椎名は、アニメの終了に合わせて、漫画でも小学校卒業を描いたと振り返っています。
連載が続くことになり、椎名は予知した未来を変えられるのか、実際に物語の時間を進めて描くことにしました。
中学生編、高校生編へ広がる形は、長期連載の中で生まれたものです。

絶対可憐チルドレン第40巻の公式書影
『絶対可憐チルドレン』第40巻/椎名高志、小学館。 出典

第40巻では、三人は高校へ進学しています。
超能力者としての任務が続く一方、新しい同級生の松風が登場します。
三人が成長して進学すると、学校で関わる人物も変わっていくのです。

椎名は、『絶チル』では子供たちが魅力的な大人になっていく部分を描きたかったと話しました。
本人が好きな『赤毛のアン』で、学校の卒業や進路の選択が区切りになることも、『絶チル』の終わり方を考える手がかりだったそうです。
椎名は、子供だった三人が大人へ一歩踏み出したところを、物語の区切りにしようとしていました。

絶対可憐チルドレン最終第63巻の公式書影
『絶対可憐チルドレン』最終第63巻/椎名高志、小学館。 出典

最終第63巻で、皆本が薫へ伝える言葉にも、予知で示された未来が関わっています。
幼い三人の将来を先に見せる仕掛けは、年齢を重ねた三人の物語へとつながりました。

まとめ

対談相手の石川祐は、予知の通りになるのかを気にしながら、長い連載を読んでいたと話しています。
小学生編の先まで描いたことで、椎名はその問いに、三人が年齢を重ねる物語の中で向き合っていきました。
『絶チル』の時間経過は、子供たちの将来を想像する楽しみを、成長を見届ける楽しみへ広げた選択として読めます。

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