藤田和日郎は大団円をどう作る?終盤に登場人物を集める準備

うしおととら。潮ととらの周囲に妖怪たちが集まる原作の場面。 漫画家・作者
『うしおととら』/藤田和日郎、小学館。田中圭一との対談掲載の原稿。

『うしおととら』の終盤で、これまで登場した人物たちが力を合わせる。
藤田和日郎さんは、その共闘を描きたくて、人物の感情を積み重ねていったといいます。
大勢を登場させる場面の裏では、誰がどこにいるかを確かめる、地道な作業も続いていました。

うしおととら。潮ととらの周囲に妖怪たちが集まる原作の場面。
『うしおととら』。潮ととらの周囲に集まる妖怪たち/藤田和日郎、小学館。 出典

最後にみんなで戦う場面を描きたかった

藤田さんは田中圭一さんとの対談で、強大な敵へ登場人物たちが共に立ち向かう形は、多くの人が好きな娯楽だと語っています。
本人も、そうしたクライマックスを見たかったのです。

『うしおととら』では、最後の共闘を目指して、一人ひとりの感情を描き重ねました。
藤田さんは、その積み重ねが最後の感動につながると考えていました。

うしおととら。戦うとらを描いた原作のコマ。
『うしおととら』。戦うとら/藤田和日郎、小学館。 出典

名前をノートに書き、居場所を確認した

大勢の人物を動かすために、藤田さんが使ったのはノートでした。
登場人物の名前を書き、それを見ながら、今どこにいるのかを確認して原稿を描いたと話しています。

藤田和日郎/田中圭一との本人対談に掲載された写真。
藤田和日郎/田中圭一との対談に掲載された本人写真。 出典

人物の居場所を確かめながら、共闘するまでの感情も描く。
藤田さんは、大勢が動く場面を、その両方の作業で支えていました。

阿紫花の終わりを支えた、10円の約束

人物の最後について、藤田さんは2025年の本人取材で、一人ひとりに「花道」があると話しています。
死に方を描くことは、その人物の生き方を描くことでもある、という考えです。

『からくりサーカス』の阿紫花英良について、藤田さんは、約束する相手がいない孤独と、退屈を結びつけて説明しています。
鳴海から10円を受け取って引き受けた約束は、金で動いてきた阿紫花にとって、何より大切なものになりました。

からくりサーカス。阿紫花英良が才賀勝へ問いかける場面。
『からくりサーカス』。勝へ問いかける阿紫花英良/藤田和日郎、小学館。 出典

藤田さんは、阿紫花の殺し屋としての誇りも、その約束を破れなかった理由に挙げています。
人物の終わりを描く時には、その人物にとって何が一番大切だったのか、繰り返し考えると語りました。

まとめ

藤田さんは、共闘へ向けて人物の感情を積み上げ、人物の最後には、その人が大切にしたものを描こうとしていました。
終盤で再び会える人物にも、途中で別れる人物にも、作者が考え続けた歩みがある。
大勢が集まる迫力と、一人ひとりの生き方を最後まで見届ける楽しみが、藤田さんの描く結末には重なっています。

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