『天』赤木はなぜ五筒で和了らなかったのか――白六枚の罠と、自分で認めた敗北

赤木しげるとして勝ち負けたいと語る赤木 天 天和通りの快男児
『天 天和通りの快男児』福本伸行、第10巻。

原田は、五筒で赤木の和了を認めると言った。
五筒は赤木の待ちに含まれている。
東西戦に残れる道ができたのに、赤木は自分の敗北を認め、卓を離れる。
赤木が決着をつけようとした勝負と、ひろゆきが求める決着は、どこで分かれたのか。

赤木が賭けたのは、白と入れ替えられた五索だった

ひろゆきは、白が五枚あることに気づいても、勝負を続けた。
ところが、六枚目の白をつかんで切ると、原田が国士無双のロンを宣言する。
原田は、ひろゆきが五枚目を見つけた時点では異議を唱えなかったことを突きつける。
自分に都合がよい間は続けておき、負ける時だけ不正を訴えても通らない、という言い分だ。

白が五枚あることに気づくひろゆき
『天 天和通りの快男児』福本伸行、第10巻。

赤木はそこで、ひろゆきの切った白にロンを宣言し、原田の和了に頭ハネをかける。
赤木の待ちは二索・五索・五筒なので、白では和了れない。
赤木が求めたのは、増えた白の代わりに抜かれた牌を調べ、その牌が五索なら、自分の和了とする決着だった。
五索が出なければ、誤ったロンを宣言した赤木が飛ぶ。
ひろゆきを救うために、赤木は自分の読みの成否へ勝負を移したのである。

白にロンを宣言し頭ハネをかける赤木しげる
『天 天和通りの快男児』福本伸行、第10巻。

赤木の読みには、原田が直前の局で五索を避ける形のリーチを選んだ、という手がかりがあった。
ただし、赤木自身が確証はないと認めている。
その手がかりから五索が抜かれたと読んだ赤木は、外れた場合の退場も引き受けた。

五筒の和了を認めることと、五索の読みが当たることは違う

雀箱から出たのは、五筒と五萬だった。
原田は五筒と五索を抜くよう指示していたが、部下が聞き間違えたのである。
赤木が指定した五索は、雀箱になかった。

一方、五筒も赤木の和了牌だ。
原田は、その五筒でよいと口にしている。
ひろゆきが赤木を引き止めるのは、単なる願望からではない。
五筒での和了を認めて残る、という決着を、対戦相手の原田も受け入れているからだ。

赤木は、ひろゆきの説明を間違いだとは言わない。
それでも、赤木はその和了を受け取らない。
赤木が先に宣言したのは、余った牌のどれかが自分の和了牌なら勝つ、という条件ではなかった。
五索だと指定してロンをした以上、五索がなかったという結果を、赤木は自分の負けとして受け止める。
五筒で残ることを許されたあとも、赤木にとっては、自分が口にした勝負の答えは変わらない。

赤木は、チームの損失も分かったうえで退く

ひろゆきに退場の理由を説明する赤木は、自分が自分でなくなることを恐れると語る。
その思いを表すのが、赤木しげるとして勝ち、赤木しげるとして負けたい、という言葉だ。

赤木しげるとして勝ち負けたいと語る赤木
『天 天和通りの快男児』福本伸行、第10巻。

ひろゆきは、チームとして考えてほしいと訴える。
赤木も、東軍に迷惑をかけることは承知している。
チームに有利な決着と、自分が引き受けた負けが食い違っていることを、赤木は分かったうえで退くのだ。

赤木の強さを頼みにするひろゆきには、五筒で残ってくれればよい。
赤木にとっては、その残り方を選ぶと、五索がなければ負けるという自分の宣言を変えることになる。
この場面で赤木が手放せないのは、卓に残る立場よりも、自分で決めた勝負の結果を引き受ける姿勢である。
敗北を認めたところで、赤木がどんな勝負師なのかが、ひろゆきの望みとの違いを通して見えてくる。

この記事もおすすめ

コメント

アクセス解析について
タイトルとURLをコピーしました