徳弘正也さんの作品では、動物が育ての親や旅の相棒、夫として、人間と関わります。
『ターちゃん』のエテ吉、『狂四郎2030』のバベンスキー、『亭主元気で犬がいい』の連太郎は、それぞれ違う立場で物語を動かす人物です。
動物たちの役目から、三つの作品を紹介します。
エテ吉――ターちゃんを育てたチンパンジー
『ジャングルの王者ターちゃん』のエテ吉は、サバンナに捨てられていた幼いターちゃんを拾い、育てたチンパンジーです。
動物を守るターちゃん自身が、まず動物に育てられた人間なのです。

エテ吉は、成長したターちゃんにとっても、サバンナの動物に詳しい相談相手です。
また、ターちゃんに格闘を教えた師匠には、マウンテンゴリラのゴリさんもいます。
ターちゃんにとって動物は、家族であり、教えてくれる相手でもあります。
バベンスキー――科学者の脳を持ち、狂四郎と旅をする犬
『狂四郎2030』のバベンスキーは、科学者の脳を移植され、人の言葉を話す犬です。
核戦争を経た2030年の日本で、ヘリ巡査の狂四郎と出会います。

狂四郎には、仮想世界で心を通わせる恋人・志乃がいます。
第3巻では、志乃が実在するユリカだと知った狂四郎が、彼女を救うため、バベンスキーと北海道へ向かいます。

バベンスキーは、狂四郎と会話し、救出の旅に同行する相棒です。
二人が北海道へ向かうまでの経緯は、狂四郎とターちゃんの違いでも紹介しています。
連太郎――犬に生まれ変わり、妻と事件を追う夫
『亭主元気で犬がいい』の水田連太郎は、もともとは人間の男性です。
厳しい境遇にいたマリと出会い、二人は結婚します。
ところが連太郎は殺され、犬に生まれ変わって、マリの前に現れます。

二人は意思を通じ合わせ、連太郎を殺した犯人を追っていきます。
探偵社に就職したマリと、犬になった元大学教授の連太郎が、さまざまな事件に挑むミステリーです。
バベンスキーは科学者の脳を移植された犬、連太郎は夫が犬へ生まれ変わった存在です。
同じ犬でも、二人の出発点は違います。
連太郎の場合は、犬の姿になってもマリの夫であり、二人が事件を追うことにも夫婦の関わりが続いています。
まとめ
ジャングルでの家族や師弟、近未来を進む相棒、事件に挑む夫婦。
動物たちと人間の関わりを手掛かりにすると、同じ徳弘作品でも違うジャンルを選んで読めます。
『ターちゃん』が好きだった人も、二匹の犬を追って、近未来SFやミステリーへ進んでみてください。

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