2023年2月に上演されたDomix11『アウターゾーン』は、漫画のコマをスクリーンに映し、俳優の芝居や音楽の生演奏を合わせる舞台です。
「2.2次元」と呼ばれた表現の中心には、原作の絵と舞台上の人の動きを重ねる仕掛けがあります。
原作のコマも見せる「2.2次元」の舞台
漫画の動画を担当したのは、光原伸さんの友人でもある樹崎聖さんです。
舞台の演出は佐白啓さんが手がけました。
2023年の公演情報でも、漫画映像、俳優の演技、音楽を組み合わせる形式が説明されています。
2020年に紹介された予告映像の『幸運の首』の場面では、人物の絵と一緒に吹き出しも映されています。
観客の前に、原作漫画のコマが実際に出てくるのです。

樹崎さんによれば、「2.2次元」という呼び名は、もともと観客から生まれました。
2.5次元より二次元に近いという感覚があり、使っているうちに定着したと、2020年の制作陣インタビューで振り返っています。
文字を読むより少し先に、声と音を届ける
佐白さんが大切だと話していたのは、吹き出しが見えるより少し早く、俳優の台詞を届けることです。
観客が文字を読んだ後から声を聞く流れにしないためでした。
樹崎さんも、擬音の文字が見えるよりほんの少し先に、効果音を鳴らす工夫を説明しています。
俳優は、映像が切り替わる速さに声や動きを合わせます。
佐白さんは、稽古場で動画を流し、俳優がそれを見ながら合わせる方法を説明していました。
また、佐白さんは、漫画のコマの間にある動きを芝居でつなぎ、コマと同じ形でぴたりと止まる演出も語っています。
動く場面と、絵のように止まる場面を作り、漫画のコマと舞台上の身体をつなごうとしていたのです。
2020年の取材では、演劇と朗読を場面ごとに組み合わせる構想も話していました。
ミザリィ役は夏陽りんこと嶋垣くらら
案内人ミザリィは、夏陽りんこさんと嶋垣くららさんのダブルキャストでした。
2020年のインタビューでは、樹崎さんと佐白さんが選考時の分担も語っています。
キャラクターの雰囲気は樹崎さん、演技は佐白さんが主に見ていたといいます。

佐白さんは、オーディションで夏陽さんが堂々として見えたと話しています。
その姿が、ミザリィの持つ芯の強さを表すときに合いそうだと感じたそうです。
夏陽さん自身も、以前に観た朗読公演をきっかけにミザリィを演じたいと思い、その役を目指して応募していました。

嶋垣さんは、以前のDomix出演を踏まえ、漫画の流れに合わせる難しさを話しています。
役に没頭するだけでは絵と合わなくなるため、演技の最中も周りを見て、ほかの俳優と足並みをそろえる必要があると説明していました。
役の中に入ることと、映像や共演者を意識することを、同時に求められる舞台なのです。

まとめ
佐白さんは、漫画の映像と俳優の芝居がかみ合う瞬間を「光る瞬間」と呼んでいました。
Domixでは、原作のコマが、俳優の声や動きのタイミングを決める手掛かりにもなっています。
漫画を見せる仕組みが、俳優の演じ方にも深く関わっているところに、この舞台の特徴があるのです。


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